早期からの集学的治療により喀痰培養陰性化を得た線維空洞型肺M. avium症の1例

「要旨」:症例は61歳女性. 湿性咳嗽を主訴に近医を受診し, 胸部異常陰影を指摘されたため紹介された. 喀痰抗酸菌検査では蛍光染色法陽性, Mycobacterium aviumが培養同定され, CAM, AMKに感性だった. 胸部CTでは, 右中下葉に小葉中心性粒状病変および多発する空洞病変を認めた. 精査の結果, 肺空洞病変をきたす他の疾患は否定され, 線維空洞型肺M. avium症と診断した. 当初より化学療法のみでの喀痰培養陰性化は困難と判断し, A病院呼吸器外科に相談のうえ, CAM, STFX, RFP, AMKによる術前化学療法を実施後, 右中下葉切除術を施行した. 術後より喀痰...

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Published in結核 Vol. 99; no. 2; pp. 63 - 67
Main Authors 遠藤卓人, 藤野直也, 今野周一, 竹田俊一, 小野祥直, 佐野寛仁, 伊藤辰徳, 山田充啓, 杉浦久敏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本結核・非結核性抗酸菌症学会 15.03.2024
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Summary:「要旨」:症例は61歳女性. 湿性咳嗽を主訴に近医を受診し, 胸部異常陰影を指摘されたため紹介された. 喀痰抗酸菌検査では蛍光染色法陽性, Mycobacterium aviumが培養同定され, CAM, AMKに感性だった. 胸部CTでは, 右中下葉に小葉中心性粒状病変および多発する空洞病変を認めた. 精査の結果, 肺空洞病変をきたす他の疾患は否定され, 線維空洞型肺M. avium症と診断した. 当初より化学療法のみでの喀痰培養陰性化は困難と判断し, A病院呼吸器外科に相談のうえ, CAM, STFX, RFP, AMKによる術前化学療法を実施後, 右中下葉切除術を施行した. 術後より喀痰培養は陰性化した. 術後2年間CAM, STFX, RFPを投与し, 現在まで再発なく経過している. 線維空洞型肺M. avium症における喀痰培養陰性化の達成には, 診断後早期から外科治療を検討すべきである.
ISSN:0022-9776