巻頭言 福島原発事故の経験と将来への提言 : 事故から7年を振り返って

私は救急医学, 災害医学を専門とする医師です. 2011年3月に発生した福島第一原子力発電所事故(以下, 福島原発事故)では, 当時在籍していた広島大学の緊急被ばく医療支援チームとして福島県にて医療支援活動を行いました. それから7年. 福島原発事故の検証がさまざまな角度から進められる中で, この事故が私たちに何を教えてくれたのか, 将来に引き継いでゆくべき課題について, 健康という視点から日本保健物理学会の皆様と共有したいと存じます. 福島原発事故直後は, 情報が不足し錯そうする中で, 住民の緊急避難に際して著しい混乱に遭遇しました. まず, 反省すべきは放射線の健康影響を低減するための緊急...

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Published in保健物理 Vol. 53; no. 2; pp. 45 - 46
Main Author 谷川攻一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本保健物理学会 2018
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ISSN0367-6110

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Summary:私は救急医学, 災害医学を専門とする医師です. 2011年3月に発生した福島第一原子力発電所事故(以下, 福島原発事故)では, 当時在籍していた広島大学の緊急被ばく医療支援チームとして福島県にて医療支援活動を行いました. それから7年. 福島原発事故の検証がさまざまな角度から進められる中で, この事故が私たちに何を教えてくれたのか, 将来に引き継いでゆくべき課題について, 健康という視点から日本保健物理学会の皆様と共有したいと存じます. 福島原発事故直後は, 情報が不足し錯そうする中で, 住民の緊急避難に際して著しい混乱に遭遇しました. まず, 反省すべきは放射線の健康影響を低減するための緊急避難において致死的事象が発生したことです. 事故当時, 福島原発から20km圏内にはおよそ2,200名の入院患者や介護福祉施設入所者が治療やケアを受けていました.
ISSN:0367-6110