指定発言 発達障害児の暴力の予防への地域ベースの多職種連携に向けて

今日, 先生方がご提示されたケースは, いずれも発達障害がベースにあり, そこに家族の精神障害や発達障害, 両親の離婚, 家族からの暴力を伴う厳しいしつけ, きょうだいや学校の子どもたちからのいじめ, 本人の発達障害以外の精神病理など複数の不利な環境的要因が加わって, 発達障害の症状を悪化させ, 衝動的な暴力行為をさらに深刻なものにし, 外来の診療内での対応のみでは, 支援が大変難しいケースでした. そうしたケースに, 忍耐強く, 柔軟で創意に富む取り組みをなさったご報告は, 大変勉強になりました. なかでも, 「早期対応と予防」と「多職種連携」の二点が, すべての先生方のお話のなかで重要なポ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in児童青年精神医学とその近接領域 Vol. 60; no. 5; pp. 574 - 576
Main Author 神尾陽子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本児童青年精神医学会 01.11.2019
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:今日, 先生方がご提示されたケースは, いずれも発達障害がベースにあり, そこに家族の精神障害や発達障害, 両親の離婚, 家族からの暴力を伴う厳しいしつけ, きょうだいや学校の子どもたちからのいじめ, 本人の発達障害以外の精神病理など複数の不利な環境的要因が加わって, 発達障害の症状を悪化させ, 衝動的な暴力行為をさらに深刻なものにし, 外来の診療内での対応のみでは, 支援が大変難しいケースでした. そうしたケースに, 忍耐強く, 柔軟で創意に富む取り組みをなさったご報告は, 大変勉強になりました. なかでも, 「早期対応と予防」と「多職種連携」の二点が, すべての先生方のお話のなかで重要なポイントであったように感じました. 4人の先生方のご報告をうかがいながら, 似たようなケースで, 医療にアクセスできず, 適切な医学的治療を受けることなく, 施設生活あるいは地域で孤立した生活を余儀なくされている方たちが多数おられる現実を想起いたしました.
ISSN:0289-0968