九州大学病院泌尿器・前立腺・腎臓・副腎外科における泌尿器癌のがんゲノムプロファイリング検査の経験

抄録:本邦でも2019年にがんゲノムプロファイル検査が保険承認され, がんゲノム医療が臨床実装されるに至った. 九州大学病院もがんゲノム医療中核拠点病院としてがんゲノム医療において中心的な役割を担っている. そこで, がんゲノムプロファイル検査およびその結果に基づく受療機会の提供についての我々の経験について報告する. 対象は2019年6月から2021年10月までに九州大学病院泌尿器・前立腺・腎臓・副腎外科においてがんゲノムプロファイル検査を施行した症例を対象とし, 患者背景, 臨床情報, がんゲノムプロファイル検査結果を電子カルテから収集した. その結果, 腎癌4症例, 尿路上皮癌9症例, 前...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in西日本泌尿器科 Vol. 84; no. 6; pp. 613 - 620
Main Authors 塩田真己, 松元崇, 李賢, 猪口淳一, 江藤正俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本泌尿器科学会 01.08.2022
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:抄録:本邦でも2019年にがんゲノムプロファイル検査が保険承認され, がんゲノム医療が臨床実装されるに至った. 九州大学病院もがんゲノム医療中核拠点病院としてがんゲノム医療において中心的な役割を担っている. そこで, がんゲノムプロファイル検査およびその結果に基づく受療機会の提供についての我々の経験について報告する. 対象は2019年6月から2021年10月までに九州大学病院泌尿器・前立腺・腎臓・副腎外科においてがんゲノムプロファイル検査を施行した症例を対象とし, 患者背景, 臨床情報, がんゲノムプロファイル検査結果を電子カルテから収集した. その結果, 腎癌4症例, 尿路上皮癌9症例, 前立腺癌9症例でがんゲノムプロファイル検査が施行されていた. がんゲノムプロファイル検査の結果, 5症例で遺伝子異常に基づく治療が推奨されたが, 受療機会の創出に結びついたのは2症例のみであった. 本邦におけるがんゲノム医療は徐々に普及しているが, 受療機会の提供につながる症例は少なく, がんゲノム医療の課題と考えられる. 保険診療での治療に加え, 治験や臨床試験での受療機会の拡大を通じて, 治療につながるような継続的な取り組みが求められている.
ISSN:0029-0726