巻頭言 睡眠生理心理学の進歩

睡眠の科学的な研究は, 20世紀前半の神経学研究に端を発するとされている. 1953年にAserinskyとKleitmanによってヒトのレム睡眠の発見が報告されて以降, 睡眠研究は飛躍的に発展してきた. 現在の日本の睡眠研究は, 睡眠の役割やメカニズムを研究する「睡眠科学」, 社会経済問題からみた「睡眠社会学」, 睡眠障害の治療を目的とする「睡眠医学(医歯薬学)」の3つの側面を持ち, これら3つをまとめて「睡眠学」という新しい学問体系を形成している. 睡眠学の誕生から常に, 心理学者は各分野の発展に貢献してきた. 今回の睡眠研究特集では, 基礎的な研究領域である「睡眠科学」の領域から3本の評...

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Published in生理心理学と精神生理学 Vol. 39; no. 1; pp. 1 - 3
Main Authors 高原円, 阿部高志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本生理心理学会 30.04.2021
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Summary:睡眠の科学的な研究は, 20世紀前半の神経学研究に端を発するとされている. 1953年にAserinskyとKleitmanによってヒトのレム睡眠の発見が報告されて以降, 睡眠研究は飛躍的に発展してきた. 現在の日本の睡眠研究は, 睡眠の役割やメカニズムを研究する「睡眠科学」, 社会経済問題からみた「睡眠社会学」, 睡眠障害の治療を目的とする「睡眠医学(医歯薬学)」の3つの側面を持ち, これら3つをまとめて「睡眠学」という新しい学問体系を形成している. 睡眠学の誕生から常に, 心理学者は各分野の発展に貢献してきた. 今回の睡眠研究特集では, 基礎的な研究領域である「睡眠科学」の領域から3本の評論と3本の原著が掲載されている. 睡眠科学とは, 「睡眠とは一体何なのか」, 「なぜわれわれは毎晩眠るのか」という問いに正面から取り組もうとするものである. 今では, ほとんどすべての生物に約24時間のリズムが存在することが明らかとされており, 地球上の生物として生きていく上で, この「約24時間のリズム(サーカディアンリズム)」を持つことが生存に有利であったことが推測される.
ISSN:0289-2405