本音を語る - 事象関連電位

敗戦後, 焦土と化したわが国を再建するには, 少なくとも人間が生きてゆける最小限の物質を国民一人一人に供与できるように, わが国が工業化の道を選択したことは無理からぬことであった. しかし, 一応この目的を達成した今日では, 人々の物に対する価値観はその量の大きさよりも質の豊かさへとシフトし, これまでの工業化一辺倒によってもたらされた生活環境の破壊や人間関係の破綻に対する反省もあって, 物よりも心の豊かさへの希求が極めて強くなってきている. その結果, 人々は労働の軽減や余暇の充実をはかり, 日常生活に密着した衣, 食, 住に対するより快適さの願望, つまりアメニティへの要求が日増しに強くな...

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Published in生理心理学と精神生理学 Vol. 9; no. 2; p. 92
Main Author 下河内稔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本生理心理学会 31.12.1991
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Summary:敗戦後, 焦土と化したわが国を再建するには, 少なくとも人間が生きてゆける最小限の物質を国民一人一人に供与できるように, わが国が工業化の道を選択したことは無理からぬことであった. しかし, 一応この目的を達成した今日では, 人々の物に対する価値観はその量の大きさよりも質の豊かさへとシフトし, これまでの工業化一辺倒によってもたらされた生活環境の破壊や人間関係の破綻に対する反省もあって, 物よりも心の豊かさへの希求が極めて強くなってきている. その結果, 人々は労働の軽減や余暇の充実をはかり, 日常生活に密着した衣, 食, 住に対するより快適さの願望, つまりアメニティへの要求が日増しに強くなってきたと云える.
ISSN:0289-2405