食道胃接合部腺癌における食亜全摘症例から見た上縦隔リンパ節郭清の適応と意義

「はじめに」Barrett食道腺癌を含めた食道胃接合部腺癌は本邦でも増加しており, そのリンパ節転移頻度は比較的に高い. 上縦隔リンパ節は, 食道浸潤4cm以上の場合に転移頻度が増加するとの報告を認めるが, その郭清範囲・郭清効果に関しては, いまだ画一的ではない. 日本食道学会・日本胃癌学会合同作業部会がおこなったcT2-T4の食道胃接合部癌(食道胃接合部口側肛門側2cm以内腺癌・扁平上皮癌)を対象とした前向き臨床試験では2014年から2017年の間の1065名の食道胃接合部癌患者のうち, 371名が術前登録され, そのうち手術が施行された358名が検討対象となったが, 上縦隔リンパ節のうち...

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Published inリンパ学 Vol. 47; no. 1; pp. 27 - 30
Main Authors 石井賢二郎, 羽田綾馬, 鴇沢一徳, 井上正純, 眞柳修平, 坪佐恭宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リンパ学会 30.06.2024
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ISSN0910-4186

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Summary:「はじめに」Barrett食道腺癌を含めた食道胃接合部腺癌は本邦でも増加しており, そのリンパ節転移頻度は比較的に高い. 上縦隔リンパ節は, 食道浸潤4cm以上の場合に転移頻度が増加するとの報告を認めるが, その郭清範囲・郭清効果に関しては, いまだ画一的ではない. 日本食道学会・日本胃癌学会合同作業部会がおこなったcT2-T4の食道胃接合部癌(食道胃接合部口側肛門側2cm以内腺癌・扁平上皮癌)を対象とした前向き臨床試験では2014年から2017年の間の1065名の食道胃接合部癌患者のうち, 371名が術前登録され, そのうち手術が施行された358名が検討対象となったが, 上縦隔リンパ節のうち106 recRリンパ節が食道浸潤長4.0cm超で10.7%と高値であった. これらをうけて, 食道癌ガイドライン2022においても, CQ25(食道胃接合部癌に対する手術療法において予防的な縦隔リンパ節郭清は推奨されるか?)において, T2以深の食道胃接合部癌に対する手術において食道浸潤長2.0cm超であれば下縦隔リンパ節郭清を, 浸潤長4.0cm超であれば上中下縦隔リンパ節郭清を行うことを弱く推奨する, としている.
ISSN:0910-4186