胃癌のリンパ行性転移における免疫チェックポイント分子の役割

• Published in: リンパ学 Vol. 46; no. 1; pp. 17 - 20
• Main Authors: 有上貴明, 松下大輔, 大久保啓史, 下之薗将貴, 佐々木健, 鶴田祐介, 大塚隆生
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 日本リンパ学会 30.06.2023
• ISSN: 0910-4186

「はじめに」ATTRACTION-2試験により切除不能進行・再発胃癌に対する3次化学療法として免疫チェックポイント分子であるPD-1に対する抗体薬であるニボルマブの臨床的な有用性が示された. さらに近年, CheckMate 649試験ならびにATTRACTION-4試験により1次療法における化学療法に対するニボルマブ併用療法の予後上乗せ効果が証明された. 現在, 胃癌治療ガイドライン第6版および速報版ではHER2陰性胃癌に対する1次化学療法でのニボルマブ併用療法と3次化学療法でのニボルマブ療法が推奨され, 日常臨床において広く使用されている. 一方, 免疫チェックポイント分子であるPD-1やPD-L1は, 分子生物学的にはB7 familyに属しており, 癌免疫機構, 特にT細胞性免疫応答の観点からこれらの発現が生体の免疫応答に対して抑制的に働く(免疫抑制機構)とされ, 免疫学的監視機構をすり抜ける癌独自のエスケープ機構の1つとしての可能性も報告されている.