三尖弁閉鎖症(Ic)に対するBjork手術施行後, total cavopulmonary connectionに転換した1例

症例は12歳, 男児. 生後2ヵ月時に三尖弁閉鎖症(TA)Ic+左上大静脈遺残(PLSVC)の診断を受けた. 1歳時に肺動脈絞扼術を施行後, 6歳4ヵ月時にBjork法(右房-右室吻合)によるFontan型手術を行った. 10歳頃より運動機能の低下を認め, 11歳11ヵ月の心カテーテル検査では, 右房平均圧15mmHg, 肺動脈平均圧15mmHg, 左室拡張末期圧7mmHg, LVEF 48%で, 冠状静脈洞(CS)の拡大と左室機能の低下を認めた. 12歳時に右房-右室吻合のtake down及びtotal cavopulmonary connection(TCPC)への転換を行った. 術後経...

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Published inThe Japanese Journal of THORACIC AND CARDIOVASCULAR SURGERY Vol. 46; no. 11; pp. 1147 - 1151
Main Authors 木村加奈子, 福田豊紀, 鈴木孝明, 長康則, 秋顕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胸部外科学会 1998
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Summary:症例は12歳, 男児. 生後2ヵ月時に三尖弁閉鎖症(TA)Ic+左上大静脈遺残(PLSVC)の診断を受けた. 1歳時に肺動脈絞扼術を施行後, 6歳4ヵ月時にBjork法(右房-右室吻合)によるFontan型手術を行った. 10歳頃より運動機能の低下を認め, 11歳11ヵ月の心カテーテル検査では, 右房平均圧15mmHg, 肺動脈平均圧15mmHg, 左室拡張末期圧7mmHg, LVEF 48%で, 冠状静脈洞(CS)の拡大と左室機能の低下を認めた. 12歳時に右房-右室吻合のtake down及びtotal cavopulmonary connection(TCPC)への転換を行った. 術後経過は良好で, 運動機能はNYHA III度からNYHA I度へ改善した. 本症例ではPLSVCの合併により, 拡大したCS開口部を介して右房からCSに血流 が逆流し, 圧の上昇とも相まって冠血流障害を生じ, 心機能低下を来したものと考えられた.
ISSN:1344-4964