第34回日本口腔腫瘍学会総会・学術大会 シンポジウム5 : 「救済手術について」 座長総括
最近の救済手術(Salvage operation)の概念は, 癌の根治治療としての放射線治療と薬物療法などの後に, 癌が消失しなかった, またはいったん消失したものが再度増殖してきた症例に対しての手術であり, いわゆる「最後の一手」ととらえられている. 頭頸部癌の中で, 中咽頭癌や上咽頭癌, 喉頭癌などでは臓器温存や機能温存を目的とした根治治療として放射線治療, 化学療法や放射線化学療法が選ばれることが多いと思われる. しかし口腔では標準治療は基本的に手術であり, 根治治療の第1選択として手術以外の治療が選ばれることは, 超選択的動注化学療法を除いて多くないものと思われる. そこで今回のシン...
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Published in | 日本口腔腫瘍学会誌 Vol. 28; no. 4; p. 217 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本口腔腫瘍学会
15.12.2016
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0915-5988 |
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Summary: | 最近の救済手術(Salvage operation)の概念は, 癌の根治治療としての放射線治療と薬物療法などの後に, 癌が消失しなかった, またはいったん消失したものが再度増殖してきた症例に対しての手術であり, いわゆる「最後の一手」ととらえられている. 頭頸部癌の中で, 中咽頭癌や上咽頭癌, 喉頭癌などでは臓器温存や機能温存を目的とした根治治療として放射線治療, 化学療法や放射線化学療法が選ばれることが多いと思われる. しかし口腔では標準治療は基本的に手術であり, 根治治療の第1選択として手術以外の治療が選ばれることは, 超選択的動注化学療法を除いて多くないものと思われる. そこで今回のシンポジウム「救済手術について」では「救済手術」の意味を広く捉え, 根治治療後の腫瘍残存と再発に対する手術, すなわち, 命を救うための「最後の一手」の手術として扱うこととした. なお今回のシンポジウムでは4名の非常に経験豊富な先生方に講演を依頼させていただいた. まずは群馬大学の横尾聡先生は「口腔扁平上皮癌・切除断端陽性/近接症例の救済治療」と題して根治手術での摘出物の病理組織学的な断端部の評価による予後や切除の方向性, その後の対応について解説された. 次いで恵佑会札幌病院歯科口腔外科上田倫弘先生は「進行口腔扁平上皮癌に対する化学療法, 放射線療法後の救済手術」について, 病期4の進行口腔癌に対する治療, 経過, 再発後のアプローチなどを豊富な経験を基に救済手術の適応, 時期, 術後のQOLについて報告して頂いた. 国際医療福祉大学三田病院頭頸部腫瘍センターの伏見千宙先生には「口腔癌二次症例における救済手術」と題して, 口腔癌の2次症例の治療について症例および治療成績等を分析して報告頂いた. 最後に奈良県立医科大学医学部口腔外科学講座 山川延宏先生には「口腔癌局所再発例に対する救済手術」と題し, 口腔癌の根治治療後に局所(原発巣・頸部)再発した症例に対する救済手術を中心に報告頂いた. 今回のシンポジウム「救済手術について」を原著論文としてさらに詳細に執筆いただいたので, 是非熟読していただき, 今後の臨床に役立てて頂きたい. |
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ISSN: | 0915-5988 |