B1-2-1 頸部に発生した孤立性Castleman's diseaseの1例

Castleman's diseaseは原因不明の稀な良性リンパ増殖性病変である. 今回, われわれは, 頸部に発生した孤立性Castleman's diseaseを経験したので, その画像所見を中心に報告する. 症例は27歳, 女性. 6年前より左側頸部に腫瘤を自覚するも症状ないため放置. その後, 妊娠を契機に増大傾向を認め, 出産後, 手術希望にて当院外科を紹介受診. USにて左頸部胸鎖乳突筋内側に境界明瞭, 辺縁平滑な巨大な腫瘤性病変を認めた. 内部は均一な低エコーを示し, 周辺から内部へ向かう樹枝状の血流を多数認めた. 造影CTにて, 腫瘤は頸動脈鞘と胸鎖乳突筋内...

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Published in日本口腔腫瘍学会誌 Vol. 20; no. 3; p. 192
Main Authors 杉浦一考, 宮田景子, 安森弘太郎, 古谷清美, 後藤多津子, 筑井徹, 村中光
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本口腔腫瘍学会 2008
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ISSN0915-5988

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Summary:Castleman's diseaseは原因不明の稀な良性リンパ増殖性病変である. 今回, われわれは, 頸部に発生した孤立性Castleman's diseaseを経験したので, その画像所見を中心に報告する. 症例は27歳, 女性. 6年前より左側頸部に腫瘤を自覚するも症状ないため放置. その後, 妊娠を契機に増大傾向を認め, 出産後, 手術希望にて当院外科を紹介受診. USにて左頸部胸鎖乳突筋内側に境界明瞭, 辺縁平滑な巨大な腫瘤性病変を認めた. 内部は均一な低エコーを示し, 周辺から内部へ向かう樹枝状の血流を多数認めた. 造影CTにて, 腫瘤は頸動脈鞘と胸鎖乳突筋内側を主座とする後頸間隙に存在し, 上頸部では索状, 下頸部ではやや分葉状形態を示す腫瘤性病変として描出された. 頸動静脈は腫瘤により圧排されており, 周囲に拡張血管を多数認め, 内部には均一な増強効果を認めた. MRIではT1WIにて筋肉と同程度, T2WIにて均一な高信号, 造影にて均一かつ持続性の増強効果を認めた. 周囲にflow voidと思われる無信号域を複数みとめた. Angiographyにて腫瘤は総頸動脈から内頸動脈外側に接し, 左外頸動脈造影にて後頭動脈を栄養血管, 内頸静脈を主なdraining veinとするhypervascularな病変として描出された. 全身検索にて, 他には明らかな異常はみられなかったため, 頸部腫瘤摘出術および左頸部郭清術が施行された. 術中所見では周囲浸潤傾向なく, 剥離は容易であった. 術中迅速病理組織診断では悪性リンパ腫疑いであったが, その後の, 病理組織学的検討により, Castleman's disease, hyaline-vascular typeと診断された. 術後は経過良好で3年経過現在, 再発みられない.
ISSN:0915-5988