P-69. 頬部に生じた平滑筋腫の1例

【緒言】口腔領域では血管壁以外に平滑筋がほとんど存在しないことから, 平滑筋腫の発生はきわめて稀である. 今回, われわれは頬粘膜に生じた平滑筋腫の1例を経験し, 治療する機会を得たのでその概要を若干の文献検索とともに報告した. 【症例】患者:70歳, 男性. 初診:平成17年2月9日. 主訴:右下顎の腫脹. 家族歴・既往歴:特記事項なし. 現病歴:平成16年6月頃から右側頬粘膜に腫瘤を自覚するも無痛のため放置. 平成17年2月に近歯科に腫瘤を指摘され, 精査目的に2月9日当科を受診した. 現症:右側頬粘膜(下顎犬歯, 小臼歯相当部)に20×15mm, 半球状の腫瘤を認めた. 境界明瞭, 弾性...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本口腔腫瘍学会誌 Vol. 18; no. 4; p. 187
Main Authors 飯島伸, 笹森傑, 星秀樹, 佐藤泰生, 杉山芳樹, 望月美江
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本口腔腫瘍学会 2006
Online AccessGet full text
ISSN0915-5988

Cover

More Information
Summary:【緒言】口腔領域では血管壁以外に平滑筋がほとんど存在しないことから, 平滑筋腫の発生はきわめて稀である. 今回, われわれは頬粘膜に生じた平滑筋腫の1例を経験し, 治療する機会を得たのでその概要を若干の文献検索とともに報告した. 【症例】患者:70歳, 男性. 初診:平成17年2月9日. 主訴:右下顎の腫脹. 家族歴・既往歴:特記事項なし. 現病歴:平成16年6月頃から右側頬粘膜に腫瘤を自覚するも無痛のため放置. 平成17年2月に近歯科に腫瘤を指摘され, 精査目的に2月9日当科を受診した. 現症:右側頬粘膜(下顎犬歯, 小臼歯相当部)に20×15mm, 半球状の腫瘤を認めた. 境界明瞭, 弾性硬であり周囲との癒着や圧痛は認めなかった. 表面粘膜は正常で軽度の透明度を有していた. MRI所見:右頬粘膜の口腔前庭寄りに比較的明瞭な20×15mm大のmassを認め, T2強調で高信号, T1強調では低信号であった. 臨床診断:頬部良性腫瘍. 【処置および経過】3月31日に局麻下に生検施行, 平滑筋腫(leiomyoma)の診断にて, 5月23日静脈内鎮静法, 局所麻酔下で摘出術を施行した. 術中, 術後とも異常なく止血も良好であった. オトガイ神経の知覚麻痺もなく術後6か月の現在, 再発の兆候もなく経過良好である. 【考察】平滑筋腫は組織学的に筋線維腫, 神経線維腫などとの鑑別が比較的困難な症例である. 本症例はVimentin, α-SMA, Desmin, HHF35, S-100, GFAP等の免疫組織学的所見から平滑筋腫が示唆され診断を確定する一助となった. 腫瘍細胞の組織起源は血管壁の平滑筋の可能性が考えられた. また, 悪性転化例もみられることから, 慎重に経過を観察していく予定である. 質問 東医歯大・顎顔面外科 望月美江 一部被膜がなかったということですが, 検索した症例の中に再発したものはあったか. 応答 岩手医大・2口外 飯島伸 被膜の欠損の報告は文献にもありましたが, それによる再発の報告はありませんでした.
ISSN:0915-5988