B-20. 口腔癌におけるEGFRをターゲットとした分子標的治療に関する研究 1. 口腔癌におけるEGFRの発現様式について

癌の増殖や分化は成長因子と癌細胞表面に存在するレセプターによって調節されていると考えられている. 上皮成長増殖因子(EGFR)は数種の癌で過剰発現していることが確かめられており, 分子標的治療のターゲットとして注目されている. 口腔に発症する悪性腫瘍もまた大部分は上皮系腫瘍であり, EGFR, リン酸化EGFRを過剰発現している可能性が高い. 今回は, 口腔癌に対するEGFRをターゲットとする分子標的治療の導入の可能性を検討するため, 先ず, 口腔癌組織に対するEGFRの発現様式について検索した. 組織材料は当科で治療した未治療口腔扁平上皮癌患者52名の治療前生検組織で, 抗EGFR抗体および...

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Published in日本口腔腫瘍学会誌 Vol. 16; no. 3; pp. 112 - 113
Main Authors 平石幸裕, 和田健, 中谷現, 根来健二, 田島卓也, 東條格, 藤田茂之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本口腔腫瘍学会 2004
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Summary:癌の増殖や分化は成長因子と癌細胞表面に存在するレセプターによって調節されていると考えられている. 上皮成長増殖因子(EGFR)は数種の癌で過剰発現していることが確かめられており, 分子標的治療のターゲットとして注目されている. 口腔に発症する悪性腫瘍もまた大部分は上皮系腫瘍であり, EGFR, リン酸化EGFRを過剰発現している可能性が高い. 今回は, 口腔癌に対するEGFRをターゲットとする分子標的治療の導入の可能性を検討するため, 先ず, 口腔癌組織に対するEGFRの発現様式について検索した. 組織材料は当科で治療した未治療口腔扁平上皮癌患者52名の治療前生検組織で, 抗EGFR抗体および抗リン酸化EGFR抗体を用いたLSAB法にて免疫組織学的に検討を行った. その結果, EGFR, リン酸化EGFRともに90%以上の症例で陽性であり, 均一に染色されるもの, モザイク状に染色されるもの, 陽性の腫瘍胞巣とほぼ陰性の腫瘍胞巣が混在するもの等に分類された. また, 唾液腺腫瘍においても, 症例数は少ないが, 粘表皮癌, 腺様嚢胞癌ともにEGFR, リン酸化EGFRとも陽性であった. これらの結果から, 今後口腔癌におけるEGFRをターゲットとする分子標的治療の可能性について検討していく意義が確認できた.
ISSN:0915-5988