A-10. 舌腫瘍患者の声道形態と言語障害の関連

従来より, 舌可動部半側切除および舌半側切除症例において切除範囲が同様でも特に軟口蓋音の発話明瞭度に個人差が大きいことが報告されている. 今回, われわれは舌半切症例, 前腕皮弁再建症例において, 軟口蓋音においてなぜ発話明瞭度に大きな個人差が認められるのかを, 安静時および発音時のMRI画像を比較検討することにより考察した. 対象症例はMR撮影を行った舌・口底切除症例4例(舌可動部半側切除症例3例, 舌半側切除症例1例)である. その結果, 1. 発音時, 後鼻棘において声道断面積が広い症例では軟口蓋音に強い障害が認められた. 2, 安静時と/i/発音時, 後鼻棘付近で声道断面積が狭く変化が...

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Published in日本口腔腫瘍学会誌 Vol. 15; no. 3; pp. 94 - 95
Main Authors 齋藤浩人, 片岡竜太, 鈴木規子, 丹生かず代, 山下夕香里, 道脇幸, 大野康亮, 津波古判
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本口腔腫瘍学会 2003
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ISSN0915-5988

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Summary:従来より, 舌可動部半側切除および舌半側切除症例において切除範囲が同様でも特に軟口蓋音の発話明瞭度に個人差が大きいことが報告されている. 今回, われわれは舌半切症例, 前腕皮弁再建症例において, 軟口蓋音においてなぜ発話明瞭度に大きな個人差が認められるのかを, 安静時および発音時のMRI画像を比較検討することにより考察した. 対象症例はMR撮影を行った舌・口底切除症例4例(舌可動部半側切除症例3例, 舌半側切除症例1例)である. その結果, 1. 発音時, 後鼻棘において声道断面積が広い症例では軟口蓋音に強い障害が認められた. 2, 安静時と/i/発音時, 後鼻棘付近で声道断面積が狭く変化が少ない症例では, 母音/a/に障害が認められた. 3. 母音/i/発音時に舌位が前方に偏位している症例では, /ki/発音時に/tji/, /sji/と構音位置が前方に移動した音に置換されていた. 以上の結果より, 術後の構音障害の程度は同様の切除範囲であっても, 再建後の形態により軟口蓋音に大きな差が現れる事が示唆された. また, 声道の非対称性が発話明瞭度に与える影響についても, 詳細な検討を加える必要があると考えられた. 「質問」[沖縄赤十字病院・歯口外 津波古判]MRIの撮影時間はどのくらいですか. 「応答」[昭和大・歯・1口外 斉藤浩人]最初に/a/を発声してもらい, 引き続き/i/を21秒間続けてもらっています.
ISSN:0915-5988