A-02. 口腔扁平上皮癌における頸部リンパ節転移症例の予後因子の検討

口腔領域悪性腫瘍において, 頸部リンパ節転移の制御は予後を左右する因子であるため, 頸部リンパ節転移の様相を把握することは治療を進めるうえで非常に重要である. そこで今回われわれは, 口腔扁平上皮癌における頸部リンパ節転移症例について転移リンパ節数, 被膜外浸潤, 転移リンパ節の短径, 転移部位について予後との関連性を検討したので報告する. 対象は1988年から1998年までの11年間に東京医科歯科大学第1口腔外科にて全頸部郭清術(郭清範囲 Level I~V-AJCCによるレベル分類)を施行した頭頸部扁平上皮癌症例195例中, 病理組織学的に頸部リンパ節転移を認めた145例である. 両側頸部...

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Published in日本口腔腫瘍学会誌 Vol. 15; no. 3; p. 91
Main Authors 長澤宏和, 岩城博, 石井純一, 山城正司, 鈴木鉄夫, 山根正之, 石川均, 小林淳二, 天笠光雄, 小村健, 新谷悟
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本口腔腫瘍学会 2003
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ISSN0915-5988

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Summary:口腔領域悪性腫瘍において, 頸部リンパ節転移の制御は予後を左右する因子であるため, 頸部リンパ節転移の様相を把握することは治療を進めるうえで非常に重要である. そこで今回われわれは, 口腔扁平上皮癌における頸部リンパ節転移症例について転移リンパ節数, 被膜外浸潤, 転移リンパ節の短径, 転移部位について予後との関連性を検討したので報告する. 対象は1988年から1998年までの11年間に東京医科歯科大学第1口腔外科にて全頸部郭清術(郭清範囲 Level I~V-AJCCによるレベル分類)を施行した頭頸部扁平上皮癌症例195例中, 病理組織学的に頸部リンパ節転移を認めた145例である. 両側頸部郭清術を施行した症例は対象外とした. 転移リンパ節の個数別では1個の累積5年生存率は68.2%, 2個, 49.6%, 3個, 38.7%, 4個, 25.3%, 5個以上が25.3%で有意差を認めた. 転移リンパ節の大きさをその短径別で検討すると10mmより小さいリンパ節の累積5年生存率は73.5%, 10mm以上は51.5%, 20mm以上は33.0%, 30mm以上は37.5%で有意差は認められなかった. 被膜外浸潤の有無で検討すると被膜外浸潤がない症例の5年生存率は70.0%, 被膜外浸潤が1個認められた症例は35.6%, 2個以上では11.8%で, 統計学的に有意差を認めた. 最遠位レベル別の累積5年生存率はレベルIが71.2%, レベルII, 51.5%, レベルIII, 42.7%, レベルIV, 39.2%, レベルV, 25.0%で, 有意差はなかった. 転移レベルが1箇所であった症例の5年生存率は65.2%, 2箇所以上の複数レベルに転移を認めた症例は35.6%で統計学的に有意差を認めた. Cox比例ハザードモデルを, 用いて解析を行ったところ被膜外浸潤で有意差を認め, ハザード比は被膜外浸潤がない場合に対し被膜外浸潤リンパ節1個で, 2.8993倍, 2個以上だと7.3228倍であった. 「質問」[東京医歯大・口腔機能再建学 小村健] 1. Nの診断法 2. 頸部郭清後の治療症例とその内容 「応答」[千葉西総合病院・口外 長澤宏和]術後放射線治療は, 38例行っておりますが, 転移個数が多く, 被膜外浸潤症例が多いため5生率はむしろ低い結果でした. 「質問」[愛媛大・医・歯口外 新谷悟]頸部リンパ節転移の様相により予後が影響をうけるということですが, 予後不良例で, 何により(原発再発, 遠隔転移など), 予後不良であったかを示し下さい. 「応答」[千葉西総合病院・口外 長澤宏和]遠隔転移死は13例であり, 今後その詳細について検討いたします.
ISSN:0915-5988