230. 口腔癌中, 高度進展症例に対する術前化学放射線同時併用療法-術直前生検標本と切除標本における組織学的効果の比較

我々は口腔扁平上皮進展癌の術前治療の一環としてCDDPやCBDCAを主体とした化学療法と放射線との同時併用療法を施行しその後根治手術を行う集学的治療についてその有用性を報告してきた. 今回は術前化学放射線同時併用療法を施行し根治手術を行った患者の術直前生検所見と切除標本における組織学的効果所見の比較と検討を行った. 対象及び方法は同療法を施行した男性27例, 女性19例の計46例の口腔扁平上皮癌である. Stage別では, advanced Stage II 7例, Stage III 25例, Stage IV 14例であり, 部位別では舌26例, 上顎歯肉4例, 下顎歯肉12例, 口底3例...

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Published in日本口腔腫瘍学会誌 Vol. 14; no. 4; p. 166
Main Authors 玉置盛浩, 桐田忠昭, 大儀和彦, 山中康嗣, 館林茂, 青木久美子, 今井裕一郎, 杉村正仁, 橋本賢二, 草間幹夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本口腔腫瘍学会 2002
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ISSN0915-5988

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Summary:我々は口腔扁平上皮進展癌の術前治療の一環としてCDDPやCBDCAを主体とした化学療法と放射線との同時併用療法を施行しその後根治手術を行う集学的治療についてその有用性を報告してきた. 今回は術前化学放射線同時併用療法を施行し根治手術を行った患者の術直前生検所見と切除標本における組織学的効果所見の比較と検討を行った. 対象及び方法は同療法を施行した男性27例, 女性19例の計46例の口腔扁平上皮癌である. Stage別では, advanced Stage II 7例, Stage III 25例, Stage IV 14例であり, 部位別では舌26例, 上顎歯肉4例, 下顎歯肉12例, 口底3例, 頬粘膜1例であった. 治療方法は化学療法としてCBDCA70~100mg/m2を3日間, 5FUを1日500~750mg/bodyを4日間浅側頭動脈経由の動注を行い, 同時に4MVのX線外照射を2Gy/day, 5回/週で連日照射し, 2週ごと2クール行い2~6週後をめどに根治手術を施行した. 結果は術前併用療法後の臨床効果でCRが24例(52.2%)PRが18例(39.1%)NCが4例(8.7%)と有効率91.3%であった. 組織学的効果は術直前生検標本でGrade IIb以上の有効例が42例(91.3%)Grade IIa以下が4例(8.6%)であった. 切除標本ではGrade IIb以上が39例(84.9%)Grade IIa以下が7例(15.2%)であった. 術前生検標本と切除標本で組織学的効果が一致していた症例は32例(69.6%)であり切除標本の方が効果が高いと判断された症例は4例(8.7%)で切除標本の方が効果が低いと判断された症例は10例(21.7%)であった. 部位別では舌や上顎歯肉, 頬粘膜においては術前生検と切除標本の一致率は高いが下顎歯肉, 口底では低い傾向を示した. 以上より舌癌や上顎歯肉癌, 頬粘膜癌の術前生検標本では, その後の各種再建手術の選択や縮小手術の指標となり, 一致率の低い下顎歯肉癌及び口底癌に対しては慎重な対応が必要であるものと思われた. 質問 浜松医大・歯口外 橋本賢二 CR率が高く, 組織学的にも大星・下里IVが多いので術前生検と切除物の病理が不一致なのが10例あるのは, おしい. 術前生検は中心部からとられているようですが, 切除物と不一致だったところを考えて, ここからとれば一致率が高くなるという部位はありませんでしたか. 応答 奈良医大・口外 桐田忠昭 術前生検部位の設定は術前併用療法により原発巣は中心部へ縮小していくため, 腫瘍細胞の残存率が高いと思われる中心部から採取しています. 質問 自治医大・歯口外 草間幹夫 BiopsyでCRの症例は具体的にどう手術されましたか. 応答 奈良医大・口外 桐田忠昭 当科では慎重に症例を選択しているが, 特に舌症例では術直前生検所見と切除標本所見の一致率が高いため, 生検所見を参考に切除範囲を決定しているが具体的には初診時原発巣の大きさのみ, もしくは2/3程度までの縮小手術は可能かと考えております.
ISSN:0915-5988