140. 当科における扁平上皮癌Stage IV症例の臨床的検討

当科のこれまでのStage IV症例の治療成績を検討し, 今後の進行癌の治療方針を決定する上での参考とすべく研究を行った. 対象1970年1月から1999年12月までの30年間に当科で根治的治療を行った扁平上皮癌Stage IVの一次例136例(男性125例, 女性41例, 平均年齢60.7歳)とした. 原発部位の内訳は, 下顎歯肉34例, 舌24例, 上顎洞23例, 上顎歯肉19例, 頬粘膜19例, 口底17例であった. 初回治療法の内訳は, 手術単独群34例, 術前照射群81例, 照射単独群21例であった. 各群の一部の症例は, 術前, 術後あるいは放射線と併用した化学療法を含んでいた....

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Published in日本口腔腫瘍学会誌 Vol. 14; no. 4; pp. 143 - 144
Main Authors 守屋信吾, 佐藤明, 北田秀昭, 山下知巳, 野谷健一, 福田博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本口腔腫瘍学会 2002
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Summary:当科のこれまでのStage IV症例の治療成績を検討し, 今後の進行癌の治療方針を決定する上での参考とすべく研究を行った. 対象1970年1月から1999年12月までの30年間に当科で根治的治療を行った扁平上皮癌Stage IVの一次例136例(男性125例, 女性41例, 平均年齢60.7歳)とした. 原発部位の内訳は, 下顎歯肉34例, 舌24例, 上顎洞23例, 上顎歯肉19例, 頬粘膜19例, 口底17例であった. 初回治療法の内訳は, 手術単独群34例, 術前照射群81例, 照射単独群21例であった. 各群の一部の症例は, 術前, 術後あるいは放射線と併用した化学療法を含んでいた. 全症例の5年累積生存率53.8%(下顎歯肉69.9%, 口底62.7%, 頬粘膜58.4%, 上顎洞47.0%, 舌42.4%, 上顎歯肉36.1%)で, 上顎歯肉癌の5年生存率が低かった. 舌癌のうち開設初期に多かった照射単独群を除いた10例の5年生存率は68.6%であった. 5年生存率を治療法別にみると, 手術単独群66.2%, 術前照射群57.4%, 照射単独群23.1%であった. 全症例136例のうち原病死は64例(47.0%)で, 内訳は局所再発死が30例(22.1%), 頸部再発死が2例(1.5%), 遠隔転移死が20例(14.7%)であった. 最も治療成績の不良であった上顎歯肉癌では, 19例中7例(36.8%)が局所再発死, 6例(31.6%)が遠隔転移死であった. また, 口底癌17例中7例(41.2%)が遠隔転移死であった. 現在当科ではこの結果を踏まえ, 進行癌の局所制御率の向上を目指し, 他科との連携による頭蓋底郭清などの広範囲切除, 遊離皮弁による再建, 動注化学療法などを積極的に取り入れた治療を行っている. また, 遠隔転移の起こる可能性が高い症例には術後補助化学療法も行っている. 今後は, これらの併用が進行癌の治療成績の向上に有効であるかどうかを症例を重ね検討し報告する予定である. 質問 記録なし 応答 北大・歯・口診内科学 守屋信吾 遠隔転移のハイリスク症例に対しては, 化学療法を行うつもりです.
ISSN:0915-5988