122. 頸部リンパ節転移の早期診断の検討-後発転移症例

口腔癌の後発転移症例を対象に, 転移リンパ節の早期診断について検討を加えて報告した. 初回治療時の頸部リンパ節転移の有無は造影CT, エコーでスクリーニングを行い, 転移が疑われた場合はエコーガイド下穿刺吸引細胞診(FNAC)で最終的な診断を行った. 対象は1993年以降の口腔・中咽頭癌125例の内, 後発転移症例16例で, そのT分類はT1とT2で81%であった. 当科の外来経過観察は初回治療後1年間は2回/月, 2年目は1回/月, 3年目は1回/2か月で, 以後1回/3か月である. 後発リンパ節転移診断までの期間は1例を除き2~9か月であった. 外来経過観察に応じなかった1例を除き, 転移...

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Published in日本口腔腫瘍学会誌 Vol. 14; no. 4; p. 132
Main Authors 中村昭一, 大矢亮一, 高木伸二, 池村邦男, 砂川元, 野口誠, 中村太保
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本口腔腫瘍学会 2002
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ISSN0915-5988

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Summary:口腔癌の後発転移症例を対象に, 転移リンパ節の早期診断について検討を加えて報告した. 初回治療時の頸部リンパ節転移の有無は造影CT, エコーでスクリーニングを行い, 転移が疑われた場合はエコーガイド下穿刺吸引細胞診(FNAC)で最終的な診断を行った. 対象は1993年以降の口腔・中咽頭癌125例の内, 後発転移症例16例で, そのT分類はT1とT2で81%であった. 当科の外来経過観察は初回治療後1年間は2回/月, 2年目は1回/月, 3年目は1回/2か月で, 以後1回/3か月である. 後発リンパ節転移診断までの期間は1例を除き2~9か月であった. 外来経過観察に応じなかった1例を除き, 転移リンパ節の頸動脈への癒着はなかった. N分類はN1:10, N2b:5, N2c:1(対側のみ)であった. 転移の診断を行ったリンパ節の性状は初回治療時よりリンパ節の経過が追えた症例が10例, 初回治療時のエコー上に描出できなかったリンパ節に後発転移がみられたのが3例, 判定不能が3例であった. 後発転移と診断した時のリンパ節の大きさは6~9mmが4症例, 10mm以上が11症例であった. 後発転移症例の内, 約1/3は短期間で転移リンパ節が大きくなる傾向を示した. 造影CT所見では転移を示したのが14例, 非転移リンパ節を示したのが2例であった. この2例はエコー所見でFNACを行い, 転移が確認された. CTの最大径は5~9mmが3例で, 10mm以上が11例であった. 後発転移症例の原発巣の浸潤様式は14例が4型を示していた. 後発転移症例では16例中14例にFNACによる確認がなされ全例true positiveであった. 後発転移リンパ節の早期診断には初回治療後1年間は2回/月の経過観察と造影CT, エコーでスクリーニング, 転移が疑われた場合はFNACによる確認が有用であると考える. 質問 琉球大・医・歯口外 砂川元 離島や遠隔地から通院する患者の経過観察に関し, その間隔はどうするか. 応答 産業医大・歯口外 中村昭一 遠方の方のfollow up間隔ですが, 一次治療後1年間は最低1回/月のfollowが必要と考える. 質問 札幌医大・口外 野口誠 9mm以下の小リンパ節で, 後発転移が確認できた症例の画像所見はどのようであったか. 応答 産業医大・歯口外 中村昭一 小さい転移リンパ節の発見には, エコー画像診断で, 特に, 大きさの変化と内部性状の変化をみることが重要である. その確認のために, エコーガイド下穿刺吸引細胞診を行っている. 質問 北大・歯・歯放 中村太保 頸部リンパ節転移早期診断した結果, 予後にどのように影響しましたか. 応答 産業医大・歯口外 中村昭一 後発転移の早期発見は, 必ずしも治療成績の向上につながらない.
ISSN:0915-5988