113. CDDPの拮抗剤としてのSTSの至適投与に関する実験的研究

口腔扁平上皮癌の化学療法におけるKey Drugはシスプラチン(CDDP)であるが, 副作用が比較的強いことから中等量以上を頻回に投与することは困難である. Ne0-Abjuvant Chemotherapy(NAC)として応用する場合には短期間に化学療法を終了する必要があるため, われわれはCDDPの拮抗剤であるチオ硫酸ナトリウム(STS)を併用することにより, これを達成している. しかし, STSの至適投与法に関しては, まだ不明な点も多い. 今回, 口腔扁平上皮癌より樹立した株細胞を用いSTSの至適投与に関する検討を行った. 予備実験により, モル比で400倍のSTSによりCDDPの殺...

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Published in日本口腔腫瘍学会誌 Vol. 14; no. 4; p. 127
Main Authors 和田健, 中谷現, 藤田茂之, 池内忍
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本口腔腫瘍学会 2002
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Summary:口腔扁平上皮癌の化学療法におけるKey Drugはシスプラチン(CDDP)であるが, 副作用が比較的強いことから中等量以上を頻回に投与することは困難である. Ne0-Abjuvant Chemotherapy(NAC)として応用する場合には短期間に化学療法を終了する必要があるため, われわれはCDDPの拮抗剤であるチオ硫酸ナトリウム(STS)を併用することにより, これを達成している. しかし, STSの至適投与法に関しては, まだ不明な点も多い. 今回, 口腔扁平上皮癌より樹立した株細胞を用いSTSの至適投与に関する検討を行った. 予備実験により, モル比で400倍のSTSによりCDDPの殺細胞効果をほぼ完全に不活化することが明らかとなった. H-1株を用いた至適投与時期の検討では, STSをCDDPと同時, 10分後, 30分後, 60分後に添加し, 2時間培養後, 通常の培養液に交換し1, 3, 5日に生細胞数をカウントし増殖曲線を求めた. その結果, STSを早期に作用させた群ほどCDDPの殺細胞効果は減弱したが, 10分後と30分後ではほとんど差がみられなかった. 本実験系は2経路注入法のモデルとはなり得ないが, CDDPの体内動態を考慮すると, CDDP投与10分後にSTSを投与するのが妥当であることが示唆された. 質問 清水市立病院・口外 池内忍 STSを併用することにより, CDDPの使用可能な量は増えるのでしょうか. 応答 和歌山県立医大・歯口外 和田健 動注の場合, われわれは通常50~75mgを投与しているが, 腫瘍組織内濃度を十分に上昇させることが可能であり, これ以上の増量は必要がないと思われる. 静注の場合は, STS投与のタイミングが不明確であることもあり, よくわかりません.
ISSN:0915-5988