E-14. 4NQO誘発転移性ラット舌癌細胞株を用いたリンパ節転移機序の解析
[目的]4NQO誘発ラット舌扁平上皮癌細胞株を用い, リンパ行性転移機序の解析を行った. [材料と方法]親株から血行性+リンパ行性転移能を有するRSC3LM株, 血行転移性のRSC3E2R株, 非転移性のRSC3E2株を分離した. 各細胞を下腹部皮下および足蹠部(f. p. )に接種し1ヶ月後に鼠径, 膝窩リンパ節及び肺転移を組織学的に, f. p. 接種による癌細胞の膝窩リンパ節への移行を蛍光色素標識細胞を用い検討した. また細胞のin vivo浸潤能をMatrigel transwell法で, MMP活性をZymographyで検討した. [結果及び考察]f. p. 接種ではLM株, E2...
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Published in | 日本口腔腫瘍学会誌 Vol. 12; no. 3; p. 175 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本口腔腫瘍学会
2000
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0915-5988 |
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Summary: | [目的]4NQO誘発ラット舌扁平上皮癌細胞株を用い, リンパ行性転移機序の解析を行った. [材料と方法]親株から血行性+リンパ行性転移能を有するRSC3LM株, 血行転移性のRSC3E2R株, 非転移性のRSC3E2株を分離した. 各細胞を下腹部皮下および足蹠部(f. p. )に接種し1ヶ月後に鼠径, 膝窩リンパ節及び肺転移を組織学的に, f. p. 接種による癌細胞の膝窩リンパ節への移行を蛍光色素標識細胞を用い検討した. また細胞のin vivo浸潤能をMatrigel transwell法で, MMP活性をZymographyで検討した. [結果及び考察]f. p. 接種ではLM株, E2R株ともに膝窩リンパ節転移を認めたが, 下腹部皮下接種ではLM株のみ鼠径リンパ節転移を認めた. 標識細胞のf. p. 接種では3時間後に全ての細胞で下腿部集合リンパ管, 膝窩リンパ節に陽性像を認めた. またLM株は他の細胞と比べ高い遊走能と活性型MMP2の発現を認めた. 以上よりf. p. 接種による膝窩リンパ節転移はリンパ管内接種に類似した実験的リンパ節転移であり, 自然リンパ節転移の原発巣におけるリンパ管内進入過程には遊走能及び活性化MMP2等が関与している可能性が示唆された. 質問 東京歯大・2口外 片倉朗 元来の4NQO誘発ラット舌癌での転移形成率はどのくらいですか. また, ラットの種は何を用いていますか. 応答 愛知学院大・1口外 阿部厚 (1)当教室で4NQO誘発ガンはメタをしないが用いた動物はF355ラットです. (2)特にメタさせるような工夫は転移巣よりセレクションにて樹立しました. 質問 東京医歯大・2口外 酒井英紀 最近の研究から, humanとmurineの口腔腫瘍の大きな相異が示されておりますが, 転移メカニズムの解明には, human oral cancer株の使用が有用と思われますがいかがでしょうか. 応答 愛知学院大・1口外 阿部厚 今回, ご指摘の点については検討していないので今後参考にさせていただきたい. |
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ISSN: | 0915-5988 |