2. 酸分泌抑制薬によるバレット食道退縮効果の検討
要旨 : 食道腺癌の高危険群であるバレット食道において, 酸分泌抑制薬の治療によるバレット食道の退縮効果に関して, その頻度と関与する因子について検討する. 酸分泌抑制薬による治療が6ヵ月以上行われ臨床経過を追跡できたバレット食道患者(SSBE 14例, LSBE 7例)を対象とした. 扁平上皮島の拡大または円柱上皮化食道長の短縮を認めた場合, バレット食道退縮ありとし, 退縮群と非退縮群での患者背景および酸分泌抑制薬による治療後の胸やけ症状・内視鏡的食道炎・pHモニタリングによる食道内酸逆流につき比較検討を行った. 観察期間(中央値)1,504日, 内視鏡回数(中央値)5.0回において, 5...
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Published in | Progress of Digestive Endoscopy Vol. 73; no. 2; pp. 36 - 41 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本消化器内視鏡学会関東支部会
2008
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Summary: | 要旨 : 食道腺癌の高危険群であるバレット食道において, 酸分泌抑制薬の治療によるバレット食道の退縮効果に関して, その頻度と関与する因子について検討する. 酸分泌抑制薬による治療が6ヵ月以上行われ臨床経過を追跡できたバレット食道患者(SSBE 14例, LSBE 7例)を対象とした. 扁平上皮島の拡大または円柱上皮化食道長の短縮を認めた場合, バレット食道退縮ありとし, 退縮群と非退縮群での患者背景および酸分泌抑制薬による治療後の胸やけ症状・内視鏡的食道炎・pHモニタリングによる食道内酸逆流につき比較検討を行った. 観察期間(中央値)1,504日, 内視鏡回数(中央値)5.0回において, 52.4%の患者にバレット食道退縮を認めた(退縮群11例, 非退縮群10例). 退縮群は非退縮群に比し, 男性・H. pylori陰性者に多かったが, 年齢・食道裂孔ヘルニア・CYP2 C19遺伝子多型・バレット粘膜長には差は認めなかった. また, 退縮群では内視鏡的食道炎の治癒率は高かったものの(100% vs 80%), 治療後の胸やけ症状・食道内酸逆流に差は認めなかった. 本邦においても4.1年間の酸分泌抑制薬による維持療法によって約半数にバレット食道の退縮が認められた. このようなバレット食道の退縮に寄与する因子, さらには再扁平上皮化による発癌抑制との関係について, 今後更なる検討が必要である. |
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ISSN: | 1348-9844 |