演題131 肝外胆管癌のCT診断 -第1報 閉塞部位・腫瘤検出能の検討

CTによる肝外閉塞性黄疸の存在診断は, 朋管閉塞による部分的拡張を指摘することにより比較的容易である. しかし, 従来その病因を指摘するのは困難であるとされ, その点では胆管癌のCT診断に決して満足できるものではない. 今回, われわれは72例の肝外胆管癌のCT像を検討した結果, 大多数の症例で閉塞部位および種瘍の指摘が可能であったので報告する. また, 進展度診断の有用性についても言及する. I. 対象・方法 対象は肝外胆管癌72例で, 58例に手術が施行され, うち45例に切除術が施行されている. 原発部位は左右肝管(Br, Bl)6例, 上部胆管(Bs)22例, 中部胆管(Bn)21例,...

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Published in胆道 Vol. 1; no. 2; p. 336
Main Authors 斎藤博哉, 藤田信行, 奥芝俊一, 長谷川貴, 富田雅義, 川村直之, 篠原正裕, 森田穣, 入江五朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 1987
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Summary:CTによる肝外閉塞性黄疸の存在診断は, 朋管閉塞による部分的拡張を指摘することにより比較的容易である. しかし, 従来その病因を指摘するのは困難であるとされ, その点では胆管癌のCT診断に決して満足できるものではない. 今回, われわれは72例の肝外胆管癌のCT像を検討した結果, 大多数の症例で閉塞部位および種瘍の指摘が可能であったので報告する. また, 進展度診断の有用性についても言及する. I. 対象・方法 対象は肝外胆管癌72例で, 58例に手術が施行され, うち45例に切除術が施行されている. 原発部位は左右肝管(Br, Bl)6例, 上部胆管(Bs)22例, 中部胆管(Bn)21例, 下部胆管(Bi)7例, 乳頭部(A)9例, 広範囲(D)7例である. 全例造影後CTにて検討し, 52例にはbolus injectionを併用した. なお, CT検査時に既にPTCDが施行されていた症例は47例であった. II. 結果 1. 閉塞部位診断は65例(87.5%)で可能であった. 診断不能例9例中8例はPTCD-tubeによるartifactが原因であった. このartifactによる診断困難例を除外すると閉塞部位診断率は98%であった. 2. 原発種瘍の検出は56例(78%)で可能で, 部位別にみるとBrl 5/6例, Bs 17/22例, Bn 16/21例, Bi 3/7例, A 8/9例, D 7/7例であった. 診断不能例16例中8例はPTCD-tubeによるartifactが原因であり, これらを除外すると原発腫瘍検出率は87.5%であった. 3. 胆管内腫瘍進展は切除例45例について検討した. 腫瘍全占拠部位は94部位で, PTCD-tubeによるartifactのため診断が因難であった18部位を除く76部位について検討した. Br 5/10(50%), Bl 5/12(42%), Bs 16/19(84%), Bn 20/22(91%), Bi 3/4(75%), A 8/9(89%)で腫瘍の存在が指摘可能であり, 30/40例(75%)で胆管内腫瘍進展を的確に診断できた. 4. 腫瘍の大きさを2cm以下, 2-4cm, 4cm以上の3群に分けて検討したが, 明らかな差は認められなかった. 検出できた最小腫瘍は0.7×1.0であった. 5. 進展度診断はS因子, Hinf因子, Panc因子, Vp因子, N因子について検討し良好な結果が得られた. 詳細は別の機会に報告する予定である. III. 結語 1. PTCD-tubeによるartifactを除くと閉塞部位診断率は98%, 原発腫瘍検出能は87.5%であった. 2. CT検査はPTCD施行前に行なうのが望ましい. 3. 腫瘍進展度診断にもCTは有用である.
ISSN:0914-0077