8. 4次元MRIを用いた嚥下運動の評価 第3報 コントラストの至適条件の検討

「I. 目的」4次元MRIは, 撮像速度を高めて3次元データを連続的に収集することで, 嚥下運動の4次元観察が可能となる. そこで今回, この4次元MRIにおける嚥下運動評価に最適な撮像条件の確立を目的として, 撮像条件変化に伴う嚥下関連諸器官のコントラストに関して検討を行った. 「II. 方法」被験者は顎口腔機能に異常を認めない男性2名(平均年齢39.5歳)である. 撮像には1.5TMRI装置(PHILIPS社製)を用い, 測定精度向上の観点から, 撮像時間および3次元的奥行き情報を緩和した2次元MR Fluoroscopy収集法により信号変化を検討した. 可変パラメータとしてFlip an...

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Published in日本補綴歯科学会雑誌 Vol. 51; no. 2; p. 370
Main Authors 石井広信, 小出馨, 丹治一, 佐藤利英, 浅野栄一朗, 渡辺正宣, 佐藤喜三郎, ナムラットチャッチャイヤン, 植木誠, 浅沼直樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本補綴歯科学会 2007
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Summary:「I. 目的」4次元MRIは, 撮像速度を高めて3次元データを連続的に収集することで, 嚥下運動の4次元観察が可能となる. そこで今回, この4次元MRIにおける嚥下運動評価に最適な撮像条件の確立を目的として, 撮像条件変化に伴う嚥下関連諸器官のコントラストに関して検討を行った. 「II. 方法」被験者は顎口腔機能に異常を認めない男性2名(平均年齢39.5歳)である. 撮像には1.5TMRI装置(PHILIPS社製)を用い, 測定精度向上の観点から, 撮像時間および3次元的奥行き情報を緩和した2次元MR Fluoroscopy収集法により信号変化を検討した. 可変パラメータとしてFlip angleを選択し, 10°から100°までの範囲で10°ごとに設定した条件において撮像を行い, 画像上で喉頭付近の骨, 粘膜, 筋の信号強度を計測した後, 各条件におけるSNRを算出した. さらに, 各解剖構造間におけるSNRの差として求めたCNR curveを用いて, 嚥下運動の評価に適したコントラストの得られるFlip angleの検討を行った. 「III. 結果と考察」CNR curveより, 骨・粘膜間および骨・筋間では. Flip angle 40°から50°でコントラストが大きく, 粘膜・筋間では50°以上でコントラストが大きくなり, また, 画像全体としてSNR値が高いFlip angle 50°前後が読影に優れていることが示された. 以上の結果より, 4次元MRIを用いた嚥下運動の評価にはFlip angle 50°前後が望ましいことが示唆された.
ISSN:0389-5386