3. 咬合支持の有無が血中酸素飽和度に及ぼす影響

「I. 目的」近年, いびき症や睡眠時無呼吸症の患者に対してオーラルアプライアンスの有用性が報告されている. しかし多数歯欠損症例では, このオーラルアプライアンスが装着できない場合がある. そこで, いびき症や睡眠時無呼吸症の軽減を図ることを目的に, 多数歯欠損症例で咬合支持の消失した患者に対して, 夜間の義歯装着を指導することがある. 本研究では, 義歯装着による咬合支持が, 夜間睡眠中の動脈血酸素飽和度にどのように影響するかについて検討したので報告する. 「II. 方法」被験者は, 義歯装着後6ヶ月以上経過して問題なく使用し, 義歯装着以外に残存歯による咬合支持のない5名とした. 計測は...

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Published in日本補綴歯科学会雑誌 Vol. 47; no. 5; p. 908
Main Authors 清水公夫, 猪子芳美, 森田修己
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本補綴歯科学会 2003
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Summary:「I. 目的」近年, いびき症や睡眠時無呼吸症の患者に対してオーラルアプライアンスの有用性が報告されている. しかし多数歯欠損症例では, このオーラルアプライアンスが装着できない場合がある. そこで, いびき症や睡眠時無呼吸症の軽減を図ることを目的に, 多数歯欠損症例で咬合支持の消失した患者に対して, 夜間の義歯装着を指導することがある. 本研究では, 義歯装着による咬合支持が, 夜間睡眠中の動脈血酸素飽和度にどのように影響するかについて検討したので報告する. 「II. 方法」被験者は, 義歯装着後6ヶ月以上経過して問題なく使用し, 義歯装着以外に残存歯による咬合支持のない5名とした. 計測はパルスオキシメータPULSOX-M24(TEIJIN社製)を使用し, 夜間睡眠中の経皮的動脈血酸素飽和度を義歯装着時3日間, 未装着時3日間の計6日間行った. 「III. 結果と考察」3名の被験者は, 義歯未装着時の動脈血酸素濃度の低下はほとんど認められず, 義歯装着した場合でもその変化は, ほとんど認められなかった. 2名の被験者は, 義歯未装着時の動脈血酸素濃度の低下が認められ, 義歯装着により動脈血酸素濃度の低下が小さくなる傾向を示した. しかし, オアーラルアプライアンスの装着に比べると明確な改善は認められなかった.
ISSN:0389-5386