6. 歯科医療従事者におけるアレルギー実態調査

「I. 目的」近年, 医療現場において医療用材料に起因するアレルギーが問題視されている. 特に歯科医療従事者はレジンモノマーなどの有機材料, 研磨時に生じる微粒子, 歯科用グローブなど, 様々なアレルゲンと成り得る材料に接する機会が多い. 本研究では徳島大学歯学部附属病院の歯科医療従事者を対象として行ったアレルギー症状の自覚に関するアンケート調査結果を示すとともに, 歯科用材料に起因する重篤なアレルギー症例を呈示し, その対処法について報告した. 「II. 方法」アンケート調査の対象として徳島大学歯学部附属病院において歯科診療に従事している職員と, 臨床実習を行っている歯学部6年次学生の計33...

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Published in日本補綴歯科学会雑誌 Vol. 47; no. 5; p. 902
Main Authors 徳永有美, 細木真紀, 坂東永一, 薩摩登誉子, 原田藍, 北村万里子, 井上典子, 横山正秋, 池田弘一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本補綴歯科学会 2003
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Summary:「I. 目的」近年, 医療現場において医療用材料に起因するアレルギーが問題視されている. 特に歯科医療従事者はレジンモノマーなどの有機材料, 研磨時に生じる微粒子, 歯科用グローブなど, 様々なアレルゲンと成り得る材料に接する機会が多い. 本研究では徳島大学歯学部附属病院の歯科医療従事者を対象として行ったアレルギー症状の自覚に関するアンケート調査結果を示すとともに, 歯科用材料に起因する重篤なアレルギー症例を呈示し, その対処法について報告した. 「II. 方法」アンケート調査の対象として徳島大学歯学部附属病院において歯科診療に従事している職員と, 臨床実習を行っている歯学部6年次学生の計336名を選択した. 「III. 結果と考察」アンケートの有効回答者数は294名(男性145名, 女性149名)で, 回答者の平均年齢は34.0歳(23~63歳)であった. 調査対象のうち, 何らかのアレルギー症状の既往を自覚する例は61.2%(180名)であり, 最も多く認めた症状はアレルギー性鼻炎の40.1%(118名)であった. また歯科用グローブに対するアレルギーの自覚も20.4%(60名)に認められた. 本研究の結果より認められた歯科医療従事者におけるアレルギー症状の自覚率は, 厚生省アレルギー総合研究事業所研究班によるアレルギー調査報告と比較しても高く, 歯科医療現場はアレルゲンに感作されやすい環境であることが推察された. アレルギー症状を発症した場合にはアレルゲンである感作物資を出来るだけ回避することが必要である. またアレルギー症状を起こさないためには, アレルゲンとなり得る材料に不用意に触れたり, 吸飲しないことが重要である.
ISSN:0389-5386