15. コーヌス・クローネとインプラントを応用したオーラル・リハビリテーション症例

I. 目的:日常歯科臨床において部分欠損補綴に際し, 残存歯数, 欠損様式, 支台歯状態, 上下顎残存歯の対向関係等を考慮して, 口腔内の条件と患者の希望に適した補綴法を選択し, メインテナンスを含めて長期に渉る良好な予後を期待し, 施術することとなる. 今回, 上顎をコーヌス・クローネ応用の可撤性義歯, 下顎片側遊離端欠損部にインプラントを応用し, 咬合の再構成を行った症例を経験したので報告する. II. 症例の概要:患者は初診時57才女性で, 上顎では右側1,7, 左側1,2,5,7欠損であり, 右側2-6, 左側3,4,6残存するも, 両側6の口蓋根は根尖近くに及ぶ歯槽骨吸収が認められる...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本補綴歯科学会雑誌 Vol. 46; no. 1; p. 148
Main Authors 杉浦裕介, 近藤恵理子, 鈴木研二, 藤原道夫, 藤原康功
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本補綴歯科学会 2002
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:I. 目的:日常歯科臨床において部分欠損補綴に際し, 残存歯数, 欠損様式, 支台歯状態, 上下顎残存歯の対向関係等を考慮して, 口腔内の条件と患者の希望に適した補綴法を選択し, メインテナンスを含めて長期に渉る良好な予後を期待し, 施術することとなる. 今回, 上顎をコーヌス・クローネ応用の可撤性義歯, 下顎片側遊離端欠損部にインプラントを応用し, 咬合の再構成を行った症例を経験したので報告する. II. 症例の概要:患者は初診時57才女性で, 上顎では右側1,7, 左側1,2,5,7欠損であり, 右側2-6, 左側3,4,6残存するも, 両側6の口蓋根は根尖近くに及ぶ歯槽骨吸収が認められる. 左側4においては, 根尖より1/4程度まで骨吸収していた. 下顎は右側6,7欠損で, 残存歯には, 軽度から中等度の歯周疾患が進行し, 右側1,2, 左側1,2,6は保存不可能により抜歯となり, 残存歯は右側3-5, 左側3-5,7となった. 上顎では全ての根管治療, 歯周治療を行い, 両側6は口蓋根のみ分割抜去し, 頬側根は根面板を装着した. 右側2-5, 左側3,4を支台築造後, コーヌス・クローネの印象を行った. 下顎は右側6,7欠損部にインプラントを埋入し, 右側5~左側7はクラウンにて対応した. III. 結果と考察:上顎はコーヌス・クローネを用い, リジッドサポートによる二次固定効果, 咬合面のワンユニット化による咬合力の分散が期待できると考えられる. 下顎はインプラントを施術することにより, 固定性ブリッジによる補綴を可能にした. 今後, リコールによる経過観察において, 上顎支台歯の過重負担及び維持力の調整, 下顎残存歯の歯周疾患の進行に十分なメインテナンスが必要と考えられる. 以上について報告した.
ISSN:0389-5386