284. 軽いたばこと禁煙について

はじめに:喫煙者に禁煙を促すと「先ず, 軽いたばこに替えます」と返答するものがあるがその意義はいかなるものか. 喫煙していたたばこのニコチン収量(パッケージ表示量)と1年後の禁煙について検討した. 対象と方法:1998年7月から12月に当院健診センタードックを受診し, アンケートに回答し禁煙支援を受けた男性喫煙者323人のうち, 1年後に同ドックを受診した者を対象とした. ベースラインのアンケートで喫煙状況, 喫煙たばこの銘柄, 禁煙ステージ, 禁煙体験などを訊き尿中コチニン濃度(クレアチニン補正)を測定した. 1年後の喫煙状況は問診票で確認した. 結果:1年後再診した者は241人(平均年齢5...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in健康医学 Vol. 16; no. 4; p. 583
Main Authors 中澤敦子, 繁田正子, 八城博子, 西村伸治, 陶山芳一, 塩見弥生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本人間ドック学会 2002
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:はじめに:喫煙者に禁煙を促すと「先ず, 軽いたばこに替えます」と返答するものがあるがその意義はいかなるものか. 喫煙していたたばこのニコチン収量(パッケージ表示量)と1年後の禁煙について検討した. 対象と方法:1998年7月から12月に当院健診センタードックを受診し, アンケートに回答し禁煙支援を受けた男性喫煙者323人のうち, 1年後に同ドックを受診した者を対象とした. ベースラインのアンケートで喫煙状況, 喫煙たばこの銘柄, 禁煙ステージ, 禁煙体験などを訊き尿中コチニン濃度(クレアチニン補正)を測定した. 1年後の喫煙状況は問診票で確認した. 結果:1年後再診した者は241人(平均年齢52±9.2歳), このうち22人(平均年齢53.5±8.7歳)が禁煙していた. ニコチン収量が0.9未満の低ニコチンたばこの禁煙者は14人, 喫煙持続者152人(禁煙率8.4%), 通常ニコチンたばこの禁煙者は8人, 喫煙持続者67人(禁煙率10.7%)で, 軽いたばこと通常たばこの禁煙率はx2検定で有意な差を認めなかった. 禁煙者のほうが喫煙継続者よりニコチンパッケージ表示量に関わらず尿中コチニンが低い傾向にあった. また, 禁煙へのステージが禁煙に近いほど禁煙率が高い傾向であった. 結語:軽いたばこに変更することが禁煙につながるという報告はない. 今回の調査結果でも例数は少ないが, 軽いたばこの喫煙者の禁煙比率が高いということはなかった. むしろニコチンの体内への取り込み量や禁煙へのステージが禁煙率に関わっていることが示唆された. 禁煙のために軽いたばこへ変更することの意義は見出せなかった.
ISSN:0914-0328