061. 大豆イソフラボンアグリコンの更年期障害に対する効果について

更年期障害は閉経前後におけるエストロゲンの分泌低下によっておこる不定愁訴である. 一方, 大豆イソフラボンアグリコン(IFA)(商品名:ソイアクト)はエストロゲン様作用を示すことが知られている. そこでIFAを摂取した際の更年期障害の症状に及ぼす影響について検討した. 対象は更年期障害自覚症状を有する女性14名(48~56歳). 方法は被験者にIFA錠剤(40mg/日)を3ヶ月間毎日摂取してもらい(IFA摂取群), 試験開始時, 1, 2, 3ヶ月後の更年期障害スコア(自己診断チェック表使用:東京医科歯科大学産婦人科出典), 血中イソフラボン濃度, 各種血中生化学マーカー(GOT, GPT,...

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Published in健康医学 Vol. 16; no. 3; p. 342
Main Authors 久保田芳郎, 三上繁, 和泉亨, 小幡明雄, 斉藤實, 戸辺光一朗, 菊地護
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本人間ドック学会 2001
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Summary:更年期障害は閉経前後におけるエストロゲンの分泌低下によっておこる不定愁訴である. 一方, 大豆イソフラボンアグリコン(IFA)(商品名:ソイアクト)はエストロゲン様作用を示すことが知られている. そこでIFAを摂取した際の更年期障害の症状に及ぼす影響について検討した. 対象は更年期障害自覚症状を有する女性14名(48~56歳). 方法は被験者にIFA錠剤(40mg/日)を3ヶ月間毎日摂取してもらい(IFA摂取群), 試験開始時, 1, 2, 3ヶ月後の更年期障害スコア(自己診断チェック表使用:東京医科歯科大学産婦人科出典), 血中イソフラボン濃度, 各種血中生化学マーカー(GOT, GPT, 中性脂肪, T-Chol, エストラディオール, FSH)を測定した. 3ヶ月後, 同被験者にIFA非含有錠剤を3ヶ月間投与(placebo群)し, IFA摂取群と同様の項目を検討した. その結果, IFA摂取群において更年期スコアが試験開始時(30.82±12.92)と比較して2ヶ月後(23.46±10.55), 3ヶ月後(20.64±9.9)に有意に減少した(p<0.01). また血中イソフラボン濃度はIFA摂取群においてplacebo群より1ヶ月後(1.62±0.75μmol/L), 2ヶ月後(1.64±0.7), 3ヶ月後(1.49±1.37)と有意に高かった(p<0.01). さらに試験開始時にほてりの症状が見られた11名を対象としてほてりの点数をみると, IFA摂取群において試験開始時(6.36±3.14)に比較して2ヶ月後(2.73±2.49), 3ヶ月後(2.18±1.4)において有意に減少していた(p<0.01). 生化学マーカーに有意な変化はなかった. 以上の結果からIFAはほてり等の更年期障害特有の症状に対する緩和効果を有することが明らかになった.
ISSN:0914-0328