021. 肥満と逆流性食道炎の関連について

「目的」:近年, 食道腺癌の発生に寄与する逆流性食道炎が増加している. 胸やけなどの消化器症状のほか, 咳, 胸痛などの症状もみられ, 臨床上重要な位置を占めている. 発生の原因には肥満が指摘されているが, それを多角的に検討した. 「方法」:対象は2000年1月から12月までに人間ドックを受診し, 内視鏡検査を受けた35歳から69歳までの男性579例. 70歳以上, 女性, 開腹手術例は除外した. 逆流性食道炎の有無とその重症度について, body mass index, 体脂肪率, ウェスト周囲径, 20歳時からの体重増加量, 以上4つの指標との関係を検討した. 逆流性食道炎は内視鏡にて確...

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Published in健康医学 Vol. 16; no. 3; p. 325
Main Authors 中崎薫, 吉澤祥子, 栗栖敦子, 福元耕, 豊原敬三, 和田高士
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本人間ドック学会 2001
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Summary:「目的」:近年, 食道腺癌の発生に寄与する逆流性食道炎が増加している. 胸やけなどの消化器症状のほか, 咳, 胸痛などの症状もみられ, 臨床上重要な位置を占めている. 発生の原因には肥満が指摘されているが, それを多角的に検討した. 「方法」:対象は2000年1月から12月までに人間ドックを受診し, 内視鏡検査を受けた35歳から69歳までの男性579例. 70歳以上, 女性, 開腹手術例は除外した. 逆流性食道炎の有無とその重症度について, body mass index, 体脂肪率, ウェスト周囲径, 20歳時からの体重増加量, 以上4つの指標との関係を検討した. 逆流性食道炎は内視鏡にて確認し, ロサンゼルス分類にて評価した. 「結果」:579例中, 116例(Grade M9例, Grade A93例, Grade B14例)に逆流性食道炎を認めた. 逆流性食道炎が有る群は無い群に比較して, 肥満の4指標ともに有意に高値を示し, 20歳時からの体重増加量がもっとも強い影響が認めた. 逆流性食道炎の重症度との検討では, ウエスト周囲径のみがGrade MからGrade Aへの進行に有意に関与していた. 「結語」:肥満は逆流性食道炎の発生に関与しており, 各指標の中でも, 20歳時からの体重増加量がもっとも強い影響が認めた. 重症化にはウエスト周囲径が関与し, これは内臓脂肪の増量により腹圧の上昇が関与しているものと考えられた.
ISSN:0914-0328