特集 (3) 人間工学のための計測手法 第4部 : 生体電気現象その他の計測と解析 (4) - 心拍の計測

「1. はじめに」 心拍とは心臓の概周期的な動きのことで, これをほぼ直接的に観測する心電図や心音図と, 心臓の動きに伴って拍出される動脈血による血管径の変化や顔色の変化, 体動等から測定する方法がある. 前者から得られるものを心拍と呼び, 後者から得られるものを脈拍と呼ぶ. これらは厳密には異なる(たとえばBuerger病患者において)が, 主として健常人を扱う人間工学の分野では心拍を脈拍で代替してもよい. 以下に心拍, 脈拍の測定方法と人間工学的応用例を述べる. 「2. 方法」 「2-1. 心電図」 「(1) 心図の発生メカニズム」 筋肉は運動神経からの化学的な刺激を受けて神経筋接合部に電...

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Published in人間工学 Vol. 52; no. 1; pp. 1 - 5
Main Author 富田豊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本人間工学会 15.02.2016
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ISSN0549-4974

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Summary:「1. はじめに」 心拍とは心臓の概周期的な動きのことで, これをほぼ直接的に観測する心電図や心音図と, 心臓の動きに伴って拍出される動脈血による血管径の変化や顔色の変化, 体動等から測定する方法がある. 前者から得られるものを心拍と呼び, 後者から得られるものを脈拍と呼ぶ. これらは厳密には異なる(たとえばBuerger病患者において)が, 主として健常人を扱う人間工学の分野では心拍を脈拍で代替してもよい. 以下に心拍, 脈拍の測定方法と人間工学的応用例を述べる. 「2. 方法」 「2-1. 心電図」 「(1) 心図の発生メカニズム」 筋肉は運動神経からの化学的な刺激を受けて神経筋接合部に電気的な興奮を起こす. そして, その興奮が筋線維に沿って伝わりながら, 筋線維全体が収縮する. その電気的な興奮を体外から観測したものが筋電図である. 心臓も筋肉の一つであり, 興奮は右心房にある洞結節から始まり, 房室結節(心房と心室の境)で0.12~0.18sの遅れを作り, 中隔壁にあるヒス束を下降し, その後右脚と左脚に分かれて伝導する.
ISSN:0549-4974