ベプリジル塩酸塩水和物錠 (ベプリコール(R)錠) の製造販売後調査 - 持続性心房細動に対する使用成績調査

ベプリジル塩酸塩水和物錠 (ベプリコール(R)錠 ; 以下, 本剤) の市販後の持続性心房細動 (AF) に対する使用成績調査を, 2009年5月から2012年6月までの期間において実施した. 7日以上持続する持続性AFを有し, 他の抗不整脈薬が使用できない, もしくは無効であり, 本剤が初回投与である患者を対象に, プロスペクティブな中央登録方式にて, 観察期間12週の使用成績調査, さらに12週時点で本剤が継続投与されていた症例については総観察期間52週の追跡調査を実施し, 97施設の医療機関から501例を回収した. 集計除外症例を除いた安全性集計症例496例, 有効性集計症例450例につ...

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Published in心電図 Vol. 36; no. 4; pp. 269 - 295
Main Authors 鵜久森直美, 岩倉美佳, 辻智弘, 原満良, 宮崎公孝, 小川聡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本不整脈心電学会 26.12.2016
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ISSN0285-1660

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Summary:ベプリジル塩酸塩水和物錠 (ベプリコール(R)錠 ; 以下, 本剤) の市販後の持続性心房細動 (AF) に対する使用成績調査を, 2009年5月から2012年6月までの期間において実施した. 7日以上持続する持続性AFを有し, 他の抗不整脈薬が使用できない, もしくは無効であり, 本剤が初回投与である患者を対象に, プロスペクティブな中央登録方式にて, 観察期間12週の使用成績調査, さらに12週時点で本剤が継続投与されていた症例については総観察期間52週の追跡調査を実施し, 97施設の医療機関から501例を回収した. 集計除外症例を除いた安全性集計症例496例, 有効性集計症例450例について, 安全性および有効性の検討を行った. 安全性集計症例全体での本剤平均投与期間 (観察期間) は267.5±128.5日であった. 本調査期間中の副作用発現症例率は安全性集計症例において19.6% (97例/496例) で, 主な副作用は, 心電図QT延長 (57件, 11.5%), 肝機能異常 (8件, 1.6%), 徐脈 (5件, 1.0%), 肝障害・腎機能障害・倦怠感・血圧低下 (各3件, 0.6%) などであった.Torsade de pointesが2件 (0.4%) 発現したが, いずれも軽快あるいは回復した. 間質性肺疾患が1件 (0.2%) 発現し, 回復したものの後遺症が認められた. その他の重篤な心臓系の副作用として, 心房粗動・心停止・洞不全症候群・洞停止が各1件 (0.2%) 認められたが, いずれも軽快あるいは回復した. また, 心不全 (心不全の増悪) が2件 (0.4%) 発現したが, いずれも非重篤で回復した. 有効性については, 本剤投与後52週までに, 一度でも洞調律化した場合を有効と規定した. 有効性集計症例における有効率は59.6% (268例/450例) であった. また, 有効例における洞調律維持率は66.8% (179例/268例) であった. 以上, 本調査結果からは, 有効性上の懸念点は認められなかった. 安全性に関しては, 新たな懸念点は認められなかったが, 重篤な副作用を回避するためには, 承認された用法・用量および添付文書中の使用上の注意を遵守することの重要性が再確認された.
ISSN:0285-1660