心電学マイルストーン 重要論文を解説する

洞結節細胞の自動能に関与する細胞膜分子として, 種々のイオンチャネルやトランスポーターがある. L型Caチャネル(電流はI ca.L), T型Caチャネル(I ca.T), 過分極誘発性陽イオンチャネル(I f), 遅延整流性Kチャネル(I Kr), アセチルコリン感受性Kチャネル(I K.Ach), Na-Ca交換輸送体(I NCX), Na-Kポンプが知られており, 自動能を制御するうえで重要な役割を果たしている. 自律神経系による心拍の調節はGタンパク質(G s, G i)を介したアデニル酸シクラーゼの活性化や抑制に伴い細胞内cAMPの増減を引き起こし, cAMP依存性プロテインキナーゼ...

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Published in心電図 Vol. 30; no. 4; p. 311
Main Author 樗木晶子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心電学会 2010
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ISSN0285-1660

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Summary:洞結節細胞の自動能に関与する細胞膜分子として, 種々のイオンチャネルやトランスポーターがある. L型Caチャネル(電流はI ca.L), T型Caチャネル(I ca.T), 過分極誘発性陽イオンチャネル(I f), 遅延整流性Kチャネル(I Kr), アセチルコリン感受性Kチャネル(I K.Ach), Na-Ca交換輸送体(I NCX), Na-Kポンプが知られており, 自動能を制御するうえで重要な役割を果たしている. 自律神経系による心拍の調節はGタンパク質(G s, G i)を介したアデニル酸シクラーゼの活性化や抑制に伴い細胞内cAMPの増減を引き起こし, cAMP依存性プロテインキナーゼA(PKA)やcAMP依存性でもあるI f, が調節される. β受容体が刺激されるとG sを介してcAMPの増加が起こりPKAが活性化されI Ca.L, I fが増大し, 洞結節自動能が上がる. ムスカリン受容体が刺激されれば, これと逆のことが起こるとともにI K.Achを増大させ自動能は低下する.
ISSN:0285-1660