学業における自己価値の随伴性が内発的動機づけ低下に及ぼす影響プロセス1)-状態的自尊感情と失敗場面の感情を媒介として

自己価値の随伴性(Contingencies of Self-worth)とは, 個人が特定の自己の領域をどの程度重要視しているかの指標である. 学業領域の自己価値の随伴性が高いと, 学業での失敗が自己価値を揺るがす脅威となることが指摘されている. 本研究の目的は, 学業における自己価値の随伴性が内発的動機づけ低下に及ぼす影響プロセスを明らかにすることであった. 両変数を媒介する要因として状態的自尊感情と失敗場面の感情に焦点を当てた. 中学2年生125人を対象に場面想定法により検討した結果, 自己価値の随伴性が内発的動機づけを低下させるプロセスと, 内発的動機づけ低下を緩衝するプロセスの両側面...

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Published inパーソナリティ研究 Vol. 19; no. 3; pp. 206 - 216
Main Authors 大谷和大, 中谷素之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本パーソナリティ心理学会 2011
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Summary:自己価値の随伴性(Contingencies of Self-worth)とは, 個人が特定の自己の領域をどの程度重要視しているかの指標である. 学業領域の自己価値の随伴性が高いと, 学業での失敗が自己価値を揺るがす脅威となることが指摘されている. 本研究の目的は, 学業における自己価値の随伴性が内発的動機づけ低下に及ぼす影響プロセスを明らかにすることであった. 両変数を媒介する要因として状態的自尊感情と失敗場面の感情に焦点を当てた. 中学2年生125人を対象に場面想定法により検討した結果, 自己価値の随伴性が内発的動機づけを低下させるプロセスと, 内発的動機づけ低下を緩衝するプロセスの両側面が明らかとなった. すなわち, 自己価値の随伴性が状態的自尊感情と無能感を媒介した場合, 内発的動機づけを低下させるが, 一方で自己価値の随伴性が後悔を媒介した場合には, 内発的動機づけ低下が抑制されることが示された.
ISSN:1348-8406