Scaphocapitate Fracture Syndromeの1例

「目的」手関節部外傷のなかでも, 極めてまれなScapocapitate Fracture Syndromeの1例を経験したので報告する. 【症例】症例は24歳, 男性. 6mの高所より, 右手関節背屈位にて転落し受傷. 舟状骨腰部骨折と遠位骨片の背側転位を伴った有頭骨骨折を認めた. 受傷後, 7日目, 有頭骨の観血的整復術とHerbert screwによる骨接合術を行った. 【考察】正常人の手関節部の3D-CT解析では, 有頭骨骨折の発生に関して, 従来どうり, 橈骨および月状骨の関与が確認された. また, Cadaverを用いた肉眼的観察では有頭骨近位部では, 掌側, 背側ともに靭帯性連絡...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 45; no. 2; pp. 642 - 643
Main Authors 田中信博, 斎藤由吉, 坂井健介, 柴山慶, 井上博, 吉田健治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 1996
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Summary:「目的」手関節部外傷のなかでも, 極めてまれなScapocapitate Fracture Syndromeの1例を経験したので報告する. 【症例】症例は24歳, 男性. 6mの高所より, 右手関節背屈位にて転落し受傷. 舟状骨腰部骨折と遠位骨片の背側転位を伴った有頭骨骨折を認めた. 受傷後, 7日目, 有頭骨の観血的整復術とHerbert screwによる骨接合術を行った. 【考察】正常人の手関節部の3D-CT解析では, 有頭骨骨折の発生に関して, 従来どうり, 橈骨および月状骨の関与が確認された. また, Cadaverを用いた肉眼的観察では有頭骨近位部では, 掌側, 背側ともに靭帯性連絡が疎で, この部位に骨折が生じた場合, 不安定であることが観察された. 今回の症例では, これまでの報告になかった小菱形骨からの圧迫による骨折が有頭骨遠位に生じたために, 近位骨片の回転転位を伴わなかったと推察された.
ISSN:0037-1033