13. 長崎県「かむかむダイエットによる生活習慣病予防事業」の評価

長崎県歯科医師会では, 長崎大学工学部で開発・作成された咬合回数計測器を用いて, 人が“普通の食事”をするときの噛む回数を調べるとともに, この装置を使って「一口30回噛んでゆっくり食事をする」ことを習得してもらう事業を行った. そして, さらに1カ月間「一口30回噛んでゆっくり食事をする」ことを目標に生活してもらい体重や腹囲, さらに血糖値などの血液検査的要素の増減について比較検討し, 「よく噛んでゆっくり食事をすること」がダイエットにつながり, 肥満の予防につながるものかについて検討を行った. 咬合回数計測器は「よく噛んで食事をすること」を習得してもらうのに, 有用な指標となることが示され...

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Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 60; no. 5; p. 616
Main Authors 西門忍, 高木浩司, 田川明, 許斐義彦, 福田英輝, 齋藤俊行, 中島ふさ, 山口貴美恵, 吉田共栄, 水田雅人, 石松隆和, 濱崎由紀, 藤原勝浩, 辻良子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本口腔衛生学会 2010
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Summary:長崎県歯科医師会では, 長崎大学工学部で開発・作成された咬合回数計測器を用いて, 人が“普通の食事”をするときの噛む回数を調べるとともに, この装置を使って「一口30回噛んでゆっくり食事をする」ことを習得してもらう事業を行った. そして, さらに1カ月間「一口30回噛んでゆっくり食事をする」ことを目標に生活してもらい体重や腹囲, さらに血糖値などの血液検査的要素の増減について比較検討し, 「よく噛んでゆっくり食事をすること」がダイエットにつながり, 肥満の予防につながるものかについて検討を行った. 咬合回数計測器は「よく噛んで食事をすること」を習得してもらうのに, 有用な指標となることが示され, 96名の参加者の一日の食事での平均的な咬合回数は3,506回であった. また, 食生活に関するアンケートの結果と併せて検討すると咬合回数の少ない人は「早食いである」と認識される者が多く, 咬合回数が少なく, かつ早食いの人は肥満の者の割合が大きいことが示唆された. しかし, 体重, 腹囲, および血液検査の結果については統計的に有意な改善は認められず, 体重減少を目的とした短期間の「かむかむダイエット」の効果は小さかった. また, 本事業への参加をきっかけに噛むことの大切さが周知できたものとも思われ, 「しっかりゆっくり噛む」習慣を身につけることは困難なものであり, 定期的な支援が必要であることが示唆された.
ISSN:0023-2831