6. 当科における周術期口腔ケアの臨床的検討

2006年12月から2007年11月までに日本歯科大学新潟病院口腔外科で全身麻酔下の手術を行い周術期口腔ケアを行った95例(口腔ケア群)と, 2006年11月以前で, 同程度の手術侵襲の症例91例(対照群)について, 手術内容により術後経口摂食が可能な症例を口腔ケア必要度I度, 顎間固定を行う症例をII度, 手術範囲が広範で組織移植術を伴い経鼻栄養となる症例をIII度と分類し, 各口腔ケア必要度間で検討した. 体温, 白血球数, CRP値は口腔ケア群が対照群より改善傾向が早く, 局所創部感染症例は口腔ケア群II度1例, III度3例, 対照群はIII度5例だった. 口腔外科手術における術後感染...

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Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 59; no. 1; p. 60
Main Authors 南部弘喜, 田中彰, 佐藤英明, 辻内実英, 佐藤洋介, 鈴木見奈子, 山口晃, 末高武彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本口腔衛生学会 2009
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Summary:2006年12月から2007年11月までに日本歯科大学新潟病院口腔外科で全身麻酔下の手術を行い周術期口腔ケアを行った95例(口腔ケア群)と, 2006年11月以前で, 同程度の手術侵襲の症例91例(対照群)について, 手術内容により術後経口摂食が可能な症例を口腔ケア必要度I度, 顎間固定を行う症例をII度, 手術範囲が広範で組織移植術を伴い経鼻栄養となる症例をIII度と分類し, 各口腔ケア必要度間で検討した. 体温, 白血球数, CRP値は口腔ケア群が対照群より改善傾向が早く, 局所創部感染症例は口腔ケア群II度1例, III度3例, 対照群はIII度5例だった. 口腔外科手術における術後感染は, 創部治癒遅延, 治療が長期化するだけでなく, 重症化すると総頸動脈, 内径静脈の破綻による大失血など, 生命に関わる. 術後感染の制御は患者のQOLの向上, 治療成績の向上に不可欠な要素で, 術後合併症を予防するには周術期口腔ケアは有用な手段の一つであることが示唆された.
ISSN:0023-2831