II-5 第5腰神経障害に対する前方進入椎間孔外部拡大術の経験

第5腰椎(L5)仙椎化によりL5神経が椎間孔外部で圧迫され, 根症状を呈した2例に対し, 前方より椎間孔外部拡大術を施行し, 良好な成績を得た. 腰仙椎部の移行椎症例では, L5横突起が拡大し仙骨翼と癒合, あるいは関節を形成する. ここが原因の腰痛はRichard病として報告されているが, この部位での神経根障害はあまり知られておらず, 見逃されることが少なくない. 本症例のように, L5の仙椎化によって横突起が拡大し仙骨翼と接しているような症例ではL5神経根の椎間孔外部がもともと狭くなっており, L5-S1椎体骨棘の形成によって神経根が挟み込まれて容易に根症状を発症しやすくなる. 坐骨神経...

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Published in日本腰痛学会雑誌 Vol. 9; no. 1; p. 192
Main Authors 村上英樹, 川原範夫, 赤丸智之, 南部浩史, 上田康博, 羽藤泰三, 栗森世里奈, 富田勝郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腰痛学会 2003
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Summary:第5腰椎(L5)仙椎化によりL5神経が椎間孔外部で圧迫され, 根症状を呈した2例に対し, 前方より椎間孔外部拡大術を施行し, 良好な成績を得た. 腰仙椎部の移行椎症例では, L5横突起が拡大し仙骨翼と癒合, あるいは関節を形成する. ここが原因の腰痛はRichard病として報告されているが, この部位での神経根障害はあまり知られておらず, 見逃されることが少なくない. 本症例のように, L5の仙椎化によって横突起が拡大し仙骨翼と接しているような症例ではL5神経根の椎間孔外部がもともと狭くなっており, L5-S1椎体骨棘の形成によって神経根が挟み込まれて容易に根症状を発症しやすくなる. 坐骨神経痛の患者で移行椎によるL5仙椎化を認める場合にはL5神経根の椎間孔外部での狭窄を念頭に置く必要がある. また, このような症例に対しては, 後方からの十分な除圧は難しく, 前方進入によるL5神経根の椎間孔外部拡大術が有効である.
ISSN:1345-9074