Nutritional Effects of Randomly Interesterified and Physically Mixed Oils Containing Medium-chain Fatty Acids on Rats

1緒言 中鎖脂肪酸は, 一般に炭素数が8から10の脂肪酸を指し, 通常の食用油に含まれる長鎖脂肪酸とは異なる経路で吸収される(1). すなわち中鎖脂肪酸は, 胃リパーゼで速やかに加水分解され, 胆汁酸ミセルに溶解することなく小腸上皮細胞に吸収される. 吸収後は門脈を経て肝臓に取り込まれ, 肝細胞のミトコンドリアでβ酸化を受けてエネルギー代謝に利用される. このため中鎖脂肪酸は, 体脂肪として蓄積され難いと言われている(2). この他にもトリアシルグリセロール, コレステロールなどの脂質代謝に及ぼす影響, インシュリン, グルコースなどの糖質代謝に及ぼす影響, 窒素平衡などアミノ酸代謝やタンパク...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inJournal of Oleo Science Vol. 51; no. 11; pp. 699 - 703
Main Authors Osamu NOGUCHI, Hatsumi SHIMADA, Fumie KUBOTA, Hiroaki TSUJI, Toshiaki AOYAMA
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本油化学会 2002
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:1緒言 中鎖脂肪酸は, 一般に炭素数が8から10の脂肪酸を指し, 通常の食用油に含まれる長鎖脂肪酸とは異なる経路で吸収される(1). すなわち中鎖脂肪酸は, 胃リパーゼで速やかに加水分解され, 胆汁酸ミセルに溶解することなく小腸上皮細胞に吸収される. 吸収後は門脈を経て肝臓に取り込まれ, 肝細胞のミトコンドリアでβ酸化を受けてエネルギー代謝に利用される. このため中鎖脂肪酸は, 体脂肪として蓄積され難いと言われている(2). この他にもトリアシルグリセロール, コレステロールなどの脂質代謝に及ぼす影響, インシュリン, グルコースなどの糖質代謝に及ぼす影響, 窒素平衡などアミノ酸代謝やタンパク質代謝に及ぼす影響等, 種々の生理作用が知られている(3). このような特徴を利用して, 中鎖脂肪酸のみで構成されるMedium-chain triacylglycerol(MCT)が医療用に用いられているが(4), MCTは必須脂肪酸を含まない為, 食用油として使用する場合は必須脂肪酸を含む食用油と併用して用いることが必要である. 一方, 通常用いられる食用油は長鎖脂肪酸を結合するトリアシルグリセロールから成り, 吸収には膵臓リパーゼの作用を受けてモノアシルグリセロールまで加水分解され, 胆汁酸によりミセル形成がなされ小腸上皮細胞に取り込まれる. その後小腸上皮細胞内に存在する脂肪酸と結合してトリアシルグリセロールに再合成されカイロミクロンとしてリンパを経て鎖骨下静脈に入り体脂肪として蓄積される(1).
ISSN:1345-8957