III-02 マイクロサテライトDNA多型情報によるベトナム在来豚集団の遺伝的類縁関係

【目的】ベトナム在来豚は, 今なお多くのベトナム少数民族が行っている小規模畜産に有用であるだけでなく, その遺伝情報は将来のベトナムでの育種において重要となる. 本報ではベトナム在来豚集団の遺伝的類縁関係を, マイクロサテライトDNAマーカーを用いて解析した. 【方法】ベトナム南部3集団62頭(Mong Cai:27頭, Soc:25頭, Moi:10頭), 比較対照集団として南部Wild boar 25頭および欧米種3品種89頭(Landrace:30頭, Large White:30頭, Duroc:29頭)の合計176頭について, FAO/ISAG推奨マーカー30種の内, 21種を用いて...

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Published in動物遺伝育種研究 Vol. 38; no. 2; p. 137
Main Authors Nguyen Thuy Doan Trang, Bui Thi Tra Mi, 野村こう, 高橋幸水, 澤田一彦, 八日市屋敏雄, 大谷康志, Vo Thi Tuyet, Bui Van Mien, 花田博文, 天野卓
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本動物遺伝育種学会 2010
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Summary:【目的】ベトナム在来豚は, 今なお多くのベトナム少数民族が行っている小規模畜産に有用であるだけでなく, その遺伝情報は将来のベトナムでの育種において重要となる. 本報ではベトナム在来豚集団の遺伝的類縁関係を, マイクロサテライトDNAマーカーを用いて解析した. 【方法】ベトナム南部3集団62頭(Mong Cai:27頭, Soc:25頭, Moi:10頭), 比較対照集団として南部Wild boar 25頭および欧米種3品種89頭(Landrace:30頭, Large White:30頭, Duroc:29頭)の合計176頭について, FAO/ISAG推奨マーカー30種の内, 21種を用いて解析した. データ解析にはMicrosatellite Toolkit, FSTAT 2.9.3プログラムおよびPOPULATIONS 1.2.28, 系統樹の作成にはNJ plotとUnrootedソフトウェアを使用した. 【結果】平均対立遺伝子数は, ベトナム在来豚集団では5.10(Soc)~8.71(Mong Cai), Wild boarでは11.52となった. 平均ヘテロ接合体率の期待値はベトナム在来豚集団では0.50(Soc)~0.80(Moi), Wild boarでは0.81となった. 平均ヘテロ接合体率の観察値は, いずれの集団でも期待値より低い値となった. これらの値から, ベトナム在来豚の遺伝的多様性はSocが低く, 他の2集団で高い傾向が, またWild boarは家畜豚より高い多様性を保持していることが認められた. 次に遺伝的分化の程度を示すFSTを算出したところ, 在来豚3集団は欧米種よりも低い値を示した. 以上のことからベトナム南部在来豚3集団の多様性は一部を除いて欧米種より高く, また集団同士は明確に区別されるものの, 分化程度は低いことが明らかになった. 次にDAS遺伝距離で個体間の関係を調べたところSoc, Mong Cai, Wild boarが集団ごとにまとまってクラスターされるのに対し, Moiは数個体ずつこれらのクラスターの中に含まれた. さらにDA遺伝距離で系統樹を描いたところ, ベトナム在来豚3集団はWild boarとともに欧米種とは異なるクラスターを形成した.
ISSN:1345-9961