III-05 ウシおよびニホンジカにおけるTubulointerstitial nephritis antigen-like 1の塩基配列決定

【背景と目的】我々はマウスにおいて, Tubulointerstitial nephritis antigen-like 1(Tinagl1)遺伝子の発現解析および胚盤胞におけるタンパク質の局在についての研究から, TINAGL1タンパク質は, ライフェルト膜を安定化させることにより着床後の発生を支持していることを明らかにした(Igarashi et al.2009). 一方, ウシにおける体外受精技術は, 体外における胚生産の効率化, さらに胚移植により産子を得ることを可能としたが, 現在胚移植による受胎率の向上が課題となっている. 本研究では, ウシの体外生産胚の着床率向上を目的とした着床...

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Published in動物遺伝育種研究 Vol. 37; no. 2; p. 176
Main Authors 名取美貴, 福井えみ子, 松本浩道, 小金澤正昭, 吉澤緑
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本動物遺伝育種学会 2009
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Summary:【背景と目的】我々はマウスにおいて, Tubulointerstitial nephritis antigen-like 1(Tinagl1)遺伝子の発現解析および胚盤胞におけるタンパク質の局在についての研究から, TINAGL1タンパク質は, ライフェルト膜を安定化させることにより着床後の発生を支持していることを明らかにした(Igarashi et al.2009). 一方, ウシにおける体外受精技術は, 体外における胚生産の効率化, さらに胚移植により産子を得ることを可能としたが, 現在胚移植による受胎率の向上が課題となっている. 本研究では, ウシの体外生産胚の着床率向上を目的とした着床関連遺伝子のクローニングおよび構造解析の一環として, ウシおよびニホンジカについて, TINAGL1のクローニングを試みた. 【材料と方法】Total RNA抽出およびDNA抽出には, 黒毛和種1頭の卵巣およびニホンジカ1頭の耳朶を用いた. One Step RT-PCRにより, 抽出Total RNAの逆転写および目的領域の増幅を行った. 増幅に用いたプライマーは, 既に報告されているマウスAZ-1遺伝子, ヒトおよびウシTINAGL1遺伝子の塩基配列を用いて作成した. 増幅産物の塩基配列をダイレクトシーケンス法により決定し, GENETYX-MAC Ver.11.2.7によって, 既報のマウスおよびウシの当該遺伝子の塩基配列と比較解析した. 【結果】黒毛和種におけるbTINAGL1 cDNAの一部の塩基配列を決定したところ, 既報のヘレフォードの配列と完全に一致していた. 一方, ニホンジカではexon6の124bpが得られ, マウス84.7%, ウシ97.6%の相同性であった. 同領域をアミノ酸に翻訳したところ, ニホンジカ-マウス間では90.2%, ニホンジカ-ウシ間では100%の相同性を示した.
ISSN:1345-9961