I-07 ウシ脂肪交雑QTL(Marbling-3)の責任SNPの検出
【目的】これまでに, 複数の黒毛和種半きょうだい家系解析から, 4番染色体に脂肪交雑QTLが検出されている. それらのうち血縁関係にある2頭の種雄牛に注目し, ハプロタイプ比較と相関解析によってQTL候補領域の絞り込みを行った. その結果, 候補領域は46cM付近の約0.7Mbの連鎖不平衡領域まで絞り込むことができた. 本報告では, 0.7Mbの候補領域内にある4個の既知遺伝子について, 脂肪交雑QTLの原因遺伝子となりうるかどうか検討し, さらにQTLの責任SNPの同定を試みた. 【方法と結果】4個の既知遺伝子に対して, エクソン内のSNP検索とウシ筋間脂肪組織における発現解析を行った. う...
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Published in | 動物遺伝育種研究 Vol. 37; no. 2; p. 171 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本動物遺伝育種学会
2009
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Summary: | 【目的】これまでに, 複数の黒毛和種半きょうだい家系解析から, 4番染色体に脂肪交雑QTLが検出されている. それらのうち血縁関係にある2頭の種雄牛に注目し, ハプロタイプ比較と相関解析によってQTL候補領域の絞り込みを行った. その結果, 候補領域は46cM付近の約0.7Mbの連鎖不平衡領域まで絞り込むことができた. 本報告では, 0.7Mbの候補領域内にある4個の既知遺伝子について, 脂肪交雑QTLの原因遺伝子となりうるかどうか検討し, さらにQTLの責任SNPの同定を試みた. 【方法と結果】4個の既知遺伝子に対して, エクソン内のSNP検索とウシ筋間脂肪組織における発現解析を行った. うち1遺伝子はウシでナンセンス変異を生じており, 筋肉及び脂肪組織での発現も検出されなかったため候補から除外した. 残りの3遺伝子についても, 優良型Qと非優良qハプロタイプ間にアミノ酸置換を伴う変異は検出されなかった. 遺伝子Aについては, QQとQq個体での発現量がqq個体よりも高く, マウス3T3L1細胞の脂肪細胞分化に伴い発現が増加するとの報告もあったことから, 最も有力な候補遺伝子であると考えられた. こうした発現差の原因となる多型検出を目的として遺伝子の5'上流3.2kbを調べたところ, Qとqハプロタイプ間で異なる7個のSNPを検出した. 国内黒毛和種集団19,112頭から, 脂肪交雑等級の上位406頭と下位412頭を選び, 7個のSNPの型判定を行った. 型判定結果をもとに各集団におけるハプロタイプ頻度推定を行い, 各ハプロタイプの脂肪交雑との関連を検定したところ, 連鎖不平衡にある3個のSNP(SNP6,9,9B)をQ型で持つハプロタイプ頻度が, 上位集団で有意に高かった(P<10-8). さらに, ウシ筋間脂肪組織由来脂肪前駆細胞株を用い, Luciferase assayによってこれら3SNPのアリルと転写活性の関係について検討した結果, SNP6においてのみ, アリルをQ型からq型に置換することで転写活性が60%低下した(P<0.005). よってSNP6がMarbling-3の責任SNPであると考えられた. |
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ISSN: | 1345-9961 |