III-05 ミタンにおけるセロトニンレセプター1B遺伝子の塩基配列決定と多型検索

セロトニン受容体の一つにセロトニンレセプター1B(HTR1B)が存在する. ヒトにおいてHTR1B遺伝子の多型はうつ病や攻撃性のコントロールとの関連が報告されている, また家畜においてもストレス耐性に深く関与すると考えられている. ウシでは, ヘレフォード種1個体(NW_250322)でのみHTR1B遺伝子の塩基配列が決定されているだけで多型は発見されていない. ミャンマー, ブータン, バングラディッシュでは家畜ウシの近縁種ガウールの家畜型であるミタンが飼育されている. ミタンは厳しい環境条件の中で飼育する事ができ, 耐暑性に富み, 家畜ウシの飼育が困難な亜高山地帯でも飼育可能である. ミタ...

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Published in動物遺伝育種研究 Vol. 35; no. 2; p. 238
Main Authors 村越勇人, 田中和明, 滝沢達也, DORJI Tashi, 万年英之, DAING Tan, 前田芳實, 並河鷹夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本動物遺伝育種学会 2007
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Summary:セロトニン受容体の一つにセロトニンレセプター1B(HTR1B)が存在する. ヒトにおいてHTR1B遺伝子の多型はうつ病や攻撃性のコントロールとの関連が報告されている, また家畜においてもストレス耐性に深く関与すると考えられている. ウシでは, ヘレフォード種1個体(NW_250322)でのみHTR1B遺伝子の塩基配列が決定されているだけで多型は発見されていない. ミャンマー, ブータン, バングラディッシュでは家畜ウシの近縁種ガウールの家畜型であるミタンが飼育されている. ミタンは厳しい環境条件の中で飼育する事ができ, 耐暑性に富み, 家畜ウシの飼育が困難な亜高山地帯でも飼育可能である. ミタンは半野生状態で飼育されていて, 人の手で扱いにくい家畜である. しかし, 一部の地域ではミタンと家畜ウシの雑種が積極的に生産されている. F1雑種は家畜ウシより強健であり, ミタンより人に従順である. 野生動物を家畜化する過程では人に従順な個体が選抜され, 個体の行動に変化が生じる. ミタンと家畜ウシの間の行動特性, 特に人間の管理下での順応性に関する遺伝的変異を明らかに出来れば, ウシが家畜化された際にどのような遺伝子が選抜されたのかを解明する糸口になると考えられる. 本研究ではブータン, ミャンマー産ミタンのHTR1B遺伝子配列を決定し, 家畜ウシと比較した. 結果, ミタン集団内で11番目, 756番目, 1044番目の塩基に多型が存在し, TTC, TTA, TCC, CCC, CCAの5つのハプロタイプを検出した. アミノ酸配列は4番目にバリンとアラニンの多型が存在した. 家畜ウシとミタンを比較すると11番目, 507番目, 546番目, 756番目, 1044番目, 1140番目の塩基に相違が存在した. アミノ酸配列は380番目が家畜ウシではグルタミンなのに対し, ミタンでは全個体がヒスチジンであった.
ISSN:1345-9961