巻頭言
最近の資料から遺伝育種における課題解決型の研究課題について思ったことを述べる. 食料の安定供給等を基本理念とした「食料・農業・農村基本法」が平成11年に制定された. 現在, 平成17年度から始まった, 第2期5カ年の「食料・農業・農村基本計画」が実施されつつある. 我が国の食料自給率向上を主課題とし, 10年間を視野に入れた, 実に多面からの行動計画である. 我が国の食料白給率(カロリーベース)は昭和40年の73%から平成10年度には40%になった. それ以降は横ばいである. 食用魚介類の自給率をみても昭和50年頃までの100%から平成16年度の55%へと低下している. さらに, 「食料生産の...
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Published in | 動物遺伝育種研究 Vol. 34; no. 1; pp. 1 - 2 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本動物遺伝育種学会
2006
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Summary: | 最近の資料から遺伝育種における課題解決型の研究課題について思ったことを述べる. 食料の安定供給等を基本理念とした「食料・農業・農村基本法」が平成11年に制定された. 現在, 平成17年度から始まった, 第2期5カ年の「食料・農業・農村基本計画」が実施されつつある. 我が国の食料自給率向上を主課題とし, 10年間を視野に入れた, 実に多面からの行動計画である. 我が国の食料白給率(カロリーベース)は昭和40年の73%から平成10年度には40%になった. それ以降は横ばいである. 食用魚介類の自給率をみても昭和50年頃までの100%から平成16年度の55%へと低下している. さらに, 「食料生産の動向」の中の「(3)研究・技術開発の動向」をみると4課題があげられ, 何と, そのうちの2つが畜産に直接関係する課題, 「粗飼料多給による家畜生産」と「食料自給率の向上に向けた国内産粗飼料の増産を支援」である. これは主食用穀物(重量ベース自給率60%)に飼料用穀物を加えると穀物白給率が27%になることからも理解できよう. (参考資料1)さらに「(4)生産動向」の畜産物関係の課題は, (遺伝育種関係者(私)の目からみると)1)後代検定と高能力化, 2)家畜の能力に応じた飼養管理衛生管理, 3)家畜排せつ物の適正管理・有効利用, 4)自給飼料の増産・活用(放牧を含む)の4点にほぼ要約できる(家畜種ごとに大きく異なる点があるので大雑把であるが). |
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ISSN: | 1345-9961 |