P18. 抗菌薬含有poly lactic acid glycolic acid/hydroxyapatite顆粒複合体の材料学的検討

これまで我々は, 骨髄炎治療のための抗菌薬徐放担体と外科処置による骨欠損部の骨再生を促進する骨髄炎治療材について研究してきた. まず, poly-ε-caprolactone(PCL)を1%ニューキノロン系抗菌薬gatifloxacin(GFLX)の徐放担体として, βリン酸三カルシウム(βTCP)多孔体の完全連通型ディスクの内部に導入して, 複合体を作製した(Biomaterials.2008;29:350-8). しかし, PCLの顎骨内での吸収速度が遅いため, 新生骨の誘導の妨げになった. そこで, GFLXの徐放担体をpoly lactic acid glycolic acid(PLG...

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Published in日本再生歯科医学会誌 Vol. 9; no. 1; p. 63
Main Authors 槙石潤, 伊藤敦夫, 貴美島香, 松野智宣, 十河友, 佐藤田鶴子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本再生歯科医学会 2011
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ISSN1348-9615

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Summary:これまで我々は, 骨髄炎治療のための抗菌薬徐放担体と外科処置による骨欠損部の骨再生を促進する骨髄炎治療材について研究してきた. まず, poly-ε-caprolactone(PCL)を1%ニューキノロン系抗菌薬gatifloxacin(GFLX)の徐放担体として, βリン酸三カルシウム(βTCP)多孔体の完全連通型ディスクの内部に導入して, 複合体を作製した(Biomaterials.2008;29:350-8). しかし, PCLの顎骨内での吸収速度が遅いため, 新生骨の誘導の妨げになった. そこで, GFLXの徐放担体をpoly lactic acid glycolic acid(PLGA)に変更し, さらに顆粒状のβTCPを用いて複合体を作製した(Dent Mater J.2011;30:264-73). しかし, PLGAの吸収が速まったことで, GFLXの徐放期間が短縮し抗菌力が低下した. そのため, 高濃度(10%)GFLXを用いて治癒率を向上させた. ところが, この条件下では, 高濃度GFLXを用いたために, 局所のpHが低下し, βTCPの吸収が速まり, 十分な新生骨の形成が認められなかった. そこで今回は, 治癒率向上と新生骨の形成を促進させるため, βTCPの代わりに三次元連通多孔体hydroxyapatite(HA)顆粒を使用し, 高濃度GFLX含有PLGA/HA顆粒複合体を作製した. 材料学的検討として, SEMによる微細構造評価, 徐放試験, 抗菌試験およびpH試験を行ったので, その概要を報告する.
ISSN:1348-9615