20.phosphophoryn/collagen複合体応用による新しい歯周組繊再生治療法の開発

歯周病に罹患して喪失した歯周組織の再生は, 歯周病治療の究極の目標である. 現在, 歯周組織再生治療としてGoreTex(R)やエムドゲインゲル(R)を用いる方法が行われているが, 煩雑な術式や2壁性3壁性骨欠損への適応から限局的な再生療法と位置づけられている. そこで今回我々は, 広範囲の歯周組織欠損に応用可能な新しい歯周組織再生治療法の開発を目標として, 高い石灰化誘導活性を示すphosphophoryn/collagen複合体に着目して研究を行った. 実験は, ビーグル犬を用いて全身麻酔下で下顎前臼歯部の歯肉弁を剥離し, 歯槽骨を開削して骨欠損モデルを作製した. 骨欠損部に対して, 対照...

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Published in日本再生歯科医学会誌 Vol. 2; no. 1; p. 79
Main Authors 寺田裕, 藤井健男, 小池俊之, 小林文人, 中垣秀隆, 斎藤隆史, 矢嶋俊彦, 植村壽公
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本再生歯科医学会 2004
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Summary:歯周病に罹患して喪失した歯周組織の再生は, 歯周病治療の究極の目標である. 現在, 歯周組織再生治療としてGoreTex(R)やエムドゲインゲル(R)を用いる方法が行われているが, 煩雑な術式や2壁性3壁性骨欠損への適応から限局的な再生療法と位置づけられている. そこで今回我々は, 広範囲の歯周組織欠損に応用可能な新しい歯周組織再生治療法の開発を目標として, 高い石灰化誘導活性を示すphosphophoryn/collagen複合体に着目して研究を行った. 実験は, ビーグル犬を用いて全身麻酔下で下顎前臼歯部の歯肉弁を剥離し, 歯槽骨を開削して骨欠損モデルを作製した. 骨欠損部に対して, 対照側にcollagen担体, 実験側にphosphophoryn/collagen複合体を埋植して歯肉弁を復位し縫合した. 術後1, 2, 3ヶ月後に組織標本を作製して組織学的検索を行った. その結果, 対照側は3ヶ月までに歯周組織の再生は認められなかったのに対し, 実験側では歯根膜組織の再生を伴う組織修復が認められた. 以上から, phosphophoryn/collagen複合体の応用は, 健全な付着機構を伴う再生治療法への展開が可能であることが示唆された.
ISSN:1348-9615