C4-8.術前矯正治療における上顎小臼歯抜去が,下顎後方移動術後の長期的顎態変化に与える影響
【目的】下顎後方移動術後の長期的顎態変化に影響する要因として, 手術術式, 固定法, 下顎骨後方移動量, ならびに初診時顎態パタン等について多くの研究が報告されているが, 術前矯正治療の影響についての検討はされていない. 本研究では, 術前矯正治療における上顎小臼歯抜歯が骨切り術後の長期的顎態変化に与える影響を検討することを目的とした. 【資料および方法】当科にて, 下顎枝矢状分割法単独による外科的矯正治療を施行した成人骨格性下顎前突症例30名を対象とし, 術前矯正治療での上顎小臼歯抜歯の有無により, 抜歯群(男性5名, 女性10名, 計15名)と非抜歯群(男性6名, 女性9名, 計15名)の...
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Published in | 日本顎変形症学会雑誌 Vol. 13; no. 3; p. 218 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本顎変形症学会
2003
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Summary: | 【目的】下顎後方移動術後の長期的顎態変化に影響する要因として, 手術術式, 固定法, 下顎骨後方移動量, ならびに初診時顎態パタン等について多くの研究が報告されているが, 術前矯正治療の影響についての検討はされていない. 本研究では, 術前矯正治療における上顎小臼歯抜歯が骨切り術後の長期的顎態変化に与える影響を検討することを目的とした. 【資料および方法】当科にて, 下顎枝矢状分割法単独による外科的矯正治療を施行した成人骨格性下顎前突症例30名を対象とし, 術前矯正治療での上顎小臼歯抜歯の有無により, 抜歯群(男性5名, 女性10名, 計15名)と非抜歯群(男性6名, 女性9名, 計15名)の2群に分類した. 両群間の初診時顎態パタンでは, 上顎前歯歯軸に有意差を認めた他には, 歯性, 骨格性, ならびに咬合状態に有意差を認めなかった. 資料として, 初診時, 保定開始時, 術後5年以上経過時の3時点に撮影された側面頭部X線規格写真を用い, 各時点間の歯性, 骨格性, ならびに咬合状態の変化に関して, t検定を用いて両群間を比較検討した. 【結果および考察】1. 初診時から保定開始時までの変化として, 抜歯群では下顎骨の後方移動量, 下顎骨の時計方向の回転ならびに上顎前歯の舌側傾斜に有意の変化を認めた. 非抜歯群では, 下顎骨の後方移動量と上顎前歯の唇側傾斜に有意の変化を認め, 両群間では, 上顎前歯歯軸, 下顎骨後方移動量ならびに下顎骨の回転量に有意差を認めた. 2. 保定開始から術後5年以上経過時までの変化として, 抜歯群では有意の変化を認めなかった. 非抜歯群では, 下顎骨の時計方向の回転と上顎前歯の舌側傾斜に有意差を認め, 両群間では, 上顎前歯歯軸と下顎骨の回転量に有意差を認めた. 【結論】術前矯正治療での上顎小臼歯抜歯の有無は, 外科的矯正治療に伴う顎態パタンの変化に関与するばかりでなく, 術後の長期にわたる顎態変化に影響を与えることが示唆された. |
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ISSN: | 0916-7048 |