2-B-3-3.下顎非対称症例における下顎枝垂直骨切り術(IVRO)の有用性に関する検討

下顎非対称症例において下顎枝矢状分割術(以下SSRO)を用いた場合, 時として偏位側近位骨片が外側にはねられることがある. このような骨片間の干渉を解消するために偏位側にのみ下顎枝垂直骨切り術(以下IVRO)を用いたとする報告は近年比較的多く見られる. IVROはSSROに比べ手技が簡便であり, 手術時間の短縮, 出血量の減少, 下歯槽神経損傷が少ないなど, より手術侵襲が少ないという利点を有している. そのため, 当教室においては下顎の後方移動を必要とする症例全般において近年, IVROを積極的に用いており, 下顎非対称症例においても偏位側のみならず, 両側にIVROを適用し良好な結果を得て...

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Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 12; no. 3; p. 150
Main Authors 中山周子, 西山明慶, 塚本剛一, 真野隆充, 佐々木朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本顎変形症学会 2002
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Summary:下顎非対称症例において下顎枝矢状分割術(以下SSRO)を用いた場合, 時として偏位側近位骨片が外側にはねられることがある. このような骨片間の干渉を解消するために偏位側にのみ下顎枝垂直骨切り術(以下IVRO)を用いたとする報告は近年比較的多く見られる. IVROはSSROに比べ手技が簡便であり, 手術時間の短縮, 出血量の減少, 下歯槽神経損傷が少ないなど, より手術侵襲が少ないという利点を有している. そのため, 当教室においては下顎の後方移動を必要とする症例全般において近年, IVROを積極的に用いており, 下顎非対称症例においても偏位側のみならず, 両側にIVROを適用し良好な結果を得ている. そこで, 今回われわれは, 術後の安定性を含め, 下顎非対称症例におけるIVROの有用性に関して検討を加えたので報告する. 対象は1998年3月から2001年9月までの3年6カ月間に岡山大学歯学部附属病院第二口腔外科にて下顎非対称と診断され, 両側下顎にIVROを施行した26症例とした. 内訳は男性10症例, 女性16症例. 下顎単独手術症例が9症例, Le Fort I型骨切り術を併用した上下顎同時移動術症例が17症例であった. 一方1991年から2000年までの10年間に下顎非対称と診断され両側下顎にSSROを施行された37症例(下顎単独手術症例:28症例, Le Fort I型骨切り術併用症例:9症例)を対照群とした. IVRO群, SSRO群の両群について非対称性の改善, 術後の安定性, さらに手術時間, 出血量, 下歯槽神経の知覚低下などについて比較検討した. IVRO群は非対称性の改善, 術後安定性においてSSRO群と同様に良好な結果が得られた. さらに手術時間, 出血量, 下歯槽神経の知覚低下などにおいてはIVRO群の方が, より良好な結果を示した. 以上より, IVROは下顎非対称症例においても有用な術式である事が示唆された. 質問 東京歯大, 口外II 花井淳一郎 顎関節症状の術前, 術後の比較で考慮した因子は何ですか. 回答 岡山大, 歯, 2口外 中山周子 術前に訴えがあったり, 認められた症状が, そのうち一症状でも消失したり, 軽減した場合を含めて改善としました. 質問 東京大, 医, 口外 須佐美隆史 IVROを行った症例では, 上下顎手術が多いようですか. 上顎の手術の影響が大きいのではないでしょうか. 回答 岡山大, 歯, 2口外 中山周子 今回の検討では1jaw, 2jawをまとめて1群として検討しています. 今後, 症例数を増やして, 各々での検討を行っていければと思います.
ISSN:0916-7048