1-B-1-1.上下顎移動術前後における口唇裂口蓋裂患者の側貌軟組織の変化

口唇裂口蓋裂を有する顎変形症患者に対して上下顎移動術を施行した場合, その中顔面側貌の硬組織の変化に対する軟組織の変化の様相については報告者により違いが見られる. そこで今回われわれは, 当科で上下顎移動術を施行した口唇裂口蓋裂を有する患者の中顔面側貌軟組織の変化について検討した. 対象症例は, 当科で上下顎移動術(Le Fort I型骨切り術および両側下顎枝矢状分割術上顎ルアープレート固定 下顎チタンスクリュー固定)を施行した患者で, 片側唇顎口蓋裂を有する患者(以下CLP群)10名(上顎の平均前方移動量4.1mm)および口唇裂口蓋裂を有さない患者(以下非CLP群)10名(上顎の平均前方移動...

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Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 12; no. 3; p. 132
Main Authors 荒木隆宏, 原田清, 菊池剛, 筒井大輔, 佐藤昌, 見崎晶, 盛島聖子, 平野泰正, 大倉一徳, 石井正俊, 小村健
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本顎変形症学会 2002
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Summary:口唇裂口蓋裂を有する顎変形症患者に対して上下顎移動術を施行した場合, その中顔面側貌の硬組織の変化に対する軟組織の変化の様相については報告者により違いが見られる. そこで今回われわれは, 当科で上下顎移動術を施行した口唇裂口蓋裂を有する患者の中顔面側貌軟組織の変化について検討した. 対象症例は, 当科で上下顎移動術(Le Fort I型骨切り術および両側下顎枝矢状分割術上顎ルアープレート固定 下顎チタンスクリュー固定)を施行した患者で, 片側唇顎口蓋裂を有する患者(以下CLP群)10名(上顎の平均前方移動量4.1mm)および口唇裂口蓋裂を有さない患者(以下非CLP群)10名(上顎の平均前方移動量4.5mm)とした. これらの症例の術前および術後6カ月の時点で側面頭部X線規格写真を撮影し, 硬組織(ANS, U1), 軟組織(Cm, Sn, Ls)の基準点の変化を座標上で計測すると同時に, 側貌軟組織垂直高径(Gla-Sn, Sn-Bo, Sn-St, St-Bo)およびnasolabial angle(∠Cm-Sn-Ls)の変化についても計測した. その結果, CLP群と非CLP群の中顔面側貌硬組織および軟組織の各基準点の前方変化量に有意差は認められなかった. また, 上顎骨の前方変化に対する鼻尖部, 鼻下部軟組織の前方変化の比率もCLP群と非CLP群とでほぼ同等であった. さらに, CLP群と非CLP群の側貌軟組織垂直高径およびnasolabial angleの変化にも有意差は認められなかった. よって, 上顎骨の前方変化量が4mm程度であれば, 上下顎移動術を施行した片側唇顎口蓋裂を有する患者の中顔面側貌軟組織の変化は, 口唇裂口蓋裂を有さない患者の変化とほぼ同等であることが示唆された. 質問 北海道大, 矯正 飯田順一郎 口唇口蓋裂を有する患者と, 口唇口蓋裂を有さない患者において, 手術の際に軟組織の形態変化を意識した手技の差はないのか. 回答 東医歯大, 大学院, 口腔機能再建学 原田清 CLP症例の軟組織に特別な手術的処置を加えているということはしておりません. 質問 北海道大, 歯病, 矯正 佐藤嘉晃 顎裂側が右か左かにより, Snのpointは変わる可能性があると思われるが, どのように対応しましたか. それとも影響はありませんか. 回答 東医歯大, 口腔機能再建学 荒木隆宏 詳しくは調べていませんが, 印象的には大きな差はなかったと思われます.
ISSN:0916-7048