P-D-12.上下顎移動術前後における側貌軟組織変化について-2.頬部軟組織における検討

近年, 顎変形症の治療において咬合の改善のみならず, 審美的要素を十分に考慮した治療が求められている. 特に中顔面劣成長を認める症例では上下顎移動術により機能的審美的な改善が可能となる. われわれの施設において眼窩下部から頬部口角部にかけて平坦な印象の強い症例に対しては高位でのLe Fort I型上顎骨切り術(High Le Fort I)を積極的に用い同部位の審美的改善を図っている. しかしながら側貌形態について, これまで正中矢状面での評価報告は多くなされているが, 頬部軟組織について評価がなされたものは, ほとんど見られない. そこで今回われわれは, 頬部軟組織の上下顎移動術前後の変化に...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 10; no. 2; p. 224
Main Authors 西山明慶a, 佐々木朗a, 塚本剛一a, 中妻可奈子a, 吉岡徳枝a, 神野時有b
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本顎変形症学会 2000
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:近年, 顎変形症の治療において咬合の改善のみならず, 審美的要素を十分に考慮した治療が求められている. 特に中顔面劣成長を認める症例では上下顎移動術により機能的審美的な改善が可能となる. われわれの施設において眼窩下部から頬部口角部にかけて平坦な印象の強い症例に対しては高位でのLe Fort I型上顎骨切り術(High Le Fort I)を積極的に用い同部位の審美的改善を図っている. しかしながら側貌形態について, これまで正中矢状面での評価報告は多くなされているが, 頬部軟組織について評価がなされたものは, ほとんど見られない. そこで今回われわれは, 頬部軟組織の上下顎移動術前後の変化について顔面測定学的に評価検討したので報告する. 対象は平成10, 11年の2年間に岡山大学歯学部附属病院第二口腔外科において上下顎移動術を行った患者のうち, 口唇口蓋裂を伴わずオトガイ形成術を併用しなかった13名に対して評価した. 手術時年齢19歳から31歳(平均24.4歳), 男性3名, 女性10名, 上顎の術式はLe Fort I:7例, High Le Fort I:6 例, 下顎は金例両側下顎枝垂直骨切術を行った. 術前術後側貌写真上で眼球から口角にいたる頬部軟組織の輪郭線をトレースし, フランクフルト平面(FH)およびこれと直交し外耳点を通過する垂線を基準線とし眼窩下部, 頬部最突出点, 口角部の位置変化について検討した. 全側で頬部軟組織の平坦な形態が改善された. High Le Fort I 群ではLe Fort I群に比べ, 頬部軟組織変化に有意に大きな変化が見られ, この部位における形態改善に, より有効な術式であることが示唆された.
ISSN:0916-7048