P-D-5.開咬を伴った症例の顎矯正術後安定性に関する検討-術後顎間固定法の相違による比較

開咬を伴った症例は顎矯正術後に後戻りをきたす症例が多く, 後戻りの要因として手術法, 固定法, 顎間固定期間などについて検討されている. 側貌セファロ予測においてcounterclockwise, 下顎の回転が10°に及ぶ症例では, 上顎のimpaction, または併用が必要と考えられる. しかし下顎枝矢状分割術は軽度の開咬も適応とされており, 下顎のみの手術で対応する場合もある. これらの症例のうち, 術後顎間固定の固定源を矯正装置のフックに求めた場合と, 上下顎歯槽部にスクリューを設置し, 顎間固定の固定源とした場合の術後の後戻りについて比較検討を行った. 対象症例は, 下顎枝矢状分割術...

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Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 10; no. 2; p. 222
Main Authors 古田憲司, 渡辺英樹, 高石誠, 磯部直子, 鍋島弘充, 金子道生, 栗田賢一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本顎変形症学会 2000
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Summary:開咬を伴った症例は顎矯正術後に後戻りをきたす症例が多く, 後戻りの要因として手術法, 固定法, 顎間固定期間などについて検討されている. 側貌セファロ予測においてcounterclockwise, 下顎の回転が10°に及ぶ症例では, 上顎のimpaction, または併用が必要と考えられる. しかし下顎枝矢状分割術は軽度の開咬も適応とされており, 下顎のみの手術で対応する場合もある. これらの症例のうち, 術後顎間固定の固定源を矯正装置のフックに求めた場合と, 上下顎歯槽部にスクリューを設置し, 顎間固定の固定源とした場合の術後の後戻りについて比較検討を行った. 対象症例は, 下顎枝矢状分割術により顎矯正術を行った開咬を伴う下顎前突症例で, 矯正装置のフックを固定源とした5症例, スクリューを固定源とした5症例の計10症例である. 術後の顎間固定期間は5週間である. 術前, 術直後, 術後5週, 3ヵ月, 1年経過時の側貌セファロ分析を行い, 術後の骨格, 歯系に関連する計測項目について分析を行い各固定法の相違による比較検討を行った. その結果, 術後経過時における下顎骨体部の後戻りの様相は, スクリュー固定群の方が少なかった. 以上の結果より, 開咬を伴う症例に対し下顎のみの手術で対応した場合, 術後の顎間固定源として同固定法の有用性が明らかとなった.
ISSN:0916-7048